令和5年度 公害防止管理者 水質関係技術特論 問4を解説|金属の溶解度とpH
令和5年度 水質関係技術特論 問4は、金属イオンの溶解度とpHの関係を示した図を読み取る問題です。亜鉛・鉄・アルミニウム・クロムの挙動の記述のうち、誤っているものを選びます。
この問題のポイント
水酸化物として金属を沈める処理では、pHを上げると水酸化物ができて溶解度が下がるのが基本です。ただし両性金属は例外で、pHを上げすぎると水酸化物が再び溶け出し、溶解度が下がってから再び上がるV字(お椀を伏せた谷)型になります。分かれ目は亜鉛です。亜鉛は両性金属なので、pHが高くなるほど一方的に溶解度が小さくなるわけではありません。この「単調に下がり続ける」という表現が引っかけです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(1)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | 亜鉛は両性金属で、pHを上げすぎると再溶解します。高いほど溶解度が小さくなり続けるわけではありません。 |
| (2) | ○(正しい) | 2価の鉄は、扱う範囲でpHが高くなるほど水酸化物となり溶解度が小さくなります。 |
| (3) | ○(正しい) | 2価鉄を3価鉄に酸化すると水酸化物がより難溶になり、同じpHでも溶解度は小さくなります。 |
| (4) | ○(正しい) | アルミニウムも両性金属で、図ではpH5〜6付近で溶解度が最も小さくなります。 |
| (5) | ○(正しい) | クロム(Ⅲ)は図でpH6〜7付近に溶解度が最も小さくなる谷を持ちます。 |
選択肢(1)のポイント(ここが誤り)
亜鉛は両性金属です。酸性側では金属イオンとして溶け、中性〜弱アルカリで水酸化物になって溶解度が下がりますが、さらにpHを上げると水酸化物が再び溶け出して溶解度が上がります。つまりグラフは谷を持つV字型で、最も溶けにくいpHがあります。「pHが高くなるほど小さくなる」と単調減少で言い切ると、高pH側での再溶解を見落としており誤りです。処理では、この谷の位置に狙いを定めてpHを合わせるのが実務のコツになります。
覚え方
- 両性金属(亜鉛・アルミなど)はV字型。溶解度が最小になるpHの谷がある。
- 両性でない鉄などはpHを上げるほど溶けにくい。3価鉄は2価より難溶。
- 「高いほど小さくなる」の単調表現が両性金属に付いたら再溶解を疑う。
理解度チェック
Q.
亜鉛のような両性金属は、pHを上げ続けると溶解度はどうなる?
いったん下がって最小になり、さらに上げると再溶解して上がります。谷を持つV字型の挙動です。
Q.
2価の鉄を3価の鉄にすると、同じpHでの溶解度はどうなる?
小さくなります。3価鉄の水酸化物はより難溶で、低いpHでも沈みやすくなります。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和5年度 公害防止管理者等国家試験 水質関係技術特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月