令和5年度 公害防止管理者 水質関係技術特論 問3を解説|加圧浮上法と凝集沈殿法
令和5年度 水質関係技術特論 問3は、両方が適用できる場面での加圧浮上法と凝集沈殿法の優劣を比べる問題です。速度・動力・処理水質・汚泥・温度への強さの記述のうち、誤っているものを選びます。
この問題のポイント
加圧浮上法は、加圧して溶かした空気を減圧時に微細気泡として出し、粒子に付着させて浮かせる方式です。気泡が付くと見かけの密度が水より軽くなり、上向きに速く分離できます。動力が要る・処理水がやや濁りやすい・浮上汚泥は水分が少なく濃い、といった長短は素直な比較です。分かれ目は速度の向きです。加圧浮上は気泡でぐいと浮かせるため、浮上速度は沈降速度より大きく(速く)なります。ここを「小さい」と逆に書いた肢が引っかけです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(1)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | 気泡を付けて浮かせる加圧浮上は分離が速く、浮上速度は沈降速度より大きくなります。「小さい」は逆です。 |
| (2) | ○(正しい) | 空気を加圧溶解させる工程が必要なため、所要動力は加圧浮上法のほうが大きくなります。 |
| (3) | ○(正しい) | 処理水の濁度は加圧浮上法のほうがやや高くなる傾向があります。 |
| (4) | ○(正しい) | 浮上汚泥は濃縮されやすく、汚泥の水分は加圧浮上法のほうが低くなります。 |
| (5) | ○(正しい) | 原水温度が変動しても加圧浮上法のほうが安定して分離できます。 |
選択肢(1)のポイント(ここが誤り)
加圧浮上法の売りは分離の速さです。微細気泡が粒子に付くと、フロックの見かけ密度が水より軽くなり、上向きに強い浮力が働きます。その結果、浮上速度は自然沈降の沈降速度より大きく(速く)なります。だからこそ狭い槽でも短時間で固液分離ができ、油分など沈みにくい成分にも向きます。「浮上速度は沈降速度より小さい」とすると、加圧浮上の利点そのものを否定することになり誤りです。
覚え方
- 加圧浮上=気泡で軽くして浮かせる。浮上速度 > 沈降速度で分離が速い。
- 速い代わりに動力が要り、処理水はやや濁りやすい。汚泥は水分が低く濃い。
- 温度変動には加圧浮上のほうが強い。沈むより浮かせるほうが得意な相手(油・軽い粒子)に使う。
理解度チェック
Q.
加圧浮上法の浮上速度は、凝集沈殿法の沈降速度と比べてどうなる?
大きく(速く)なります。気泡が付いて見かけの密度が軽くなり、上向きに速く分離できるためです。
Q.
加圧浮上法で生じる汚泥の水分は、沈殿法と比べてどうなる?
低くなります。浮上汚泥は濃縮されやすいため、水分が少なく扱いやすい傾向があります。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和5年度 公害防止管理者等国家試験 水質関係技術特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月