令和5年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問9を解説|既設工場の騒音防止
令和5年度 騒音・振動特論 問9は、既設工場での騒音防止に関する正誤問題です。挙げられた記述のうち最も不適当なものを選びます。
この問題のポイント
工場の遮音は、壁の性能だけでなく「弱点になる部分」で効果が決まります。わずかな隙間や、屋根、換気の開口部が抜け道になり、そこから音が漏れます。引っかけの核心は、壁そのものが振動している状態を「遮音性はほとんど低下しない」とする記述です。壁が振動すると壁自体が音を放射する二次的な音源になり、遮音性は低下します。選択肢(4)はこの向きを逆に述べています。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(最も不適当な記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(適当) | 壁を強化しても隙間があれば音が漏れ、遮音効果は著しく低下します。正しい記述です。 |
| (2) | ○(適当) | 周囲に高い建物があると屋根からの漏れ音が受音点に届き、屋根の遮音性が問題になります。 |
| (3) | ○(適当) | 換気装置や吹出口・取入口の開口部は音の抜け道になり、対策が必要です。正しい記述です。 |
| (4) | ×(不適当) | 壁が振動すれば壁自体が音を放射し、遮音性は低下します。低下しないとする点が誤りです。 |
| (5) | ○(適当) | 点在する機械を1か所に集めて防音カバーで囲えば、経済的に対策できます。正しい記述です。 |
選択肢(4)のポイント(ここが誤り)
遮音の考え方では、壁は「重くて動かない」ほど音を通しにくくなります(質量則)。ところが壁自体が振動していると、その壁面が空気を押して受音側へ音を放射する二次的な音源になってしまいます。これは共振や、機械振動が壁へ固体伝搬している状態で起こりやすく、こうなると本来の遮音性能が発揮できず遮音性は低下します。したがって壁の振動には、防振支持や制振材で振動そのものを抑える対策が要ります。選択肢(4)は「壁が振動していても遮音性はほとんど低下しない」として、影響が出る向きを逆に述べている点が最も不適当です。
覚え方
- 遮音の弱点は隙間・開口部・屋根、そして壁の振動。壁が振動すると壁が音源になり遮音性は下がる。
- 遮音は質量則(重く動かない壁ほど効く)。振動を抑える制振・防振が前提。
理解度チェック
Q.
壁が振動していると遮音性はどうなる?
低下します。振動する壁面が音を放射する二次的な音源になるためです。制振や防振で振動を抑える必要があります。
Q.
壁を強化したのに効果が出ない代表的な原因は?
隙間や開口部からの音漏れです。わずかな隙間でも遮音効果は著しく低下するため、開口部の処理が欠かせません。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和5年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月