令和4年度 公害防止管理者 騒音・振動概論 問16を解説|気象と音の伝搬(屈折)
令和4年度 騒音・振動概論 問16は、大気中を伝わる音の屈折に関する問題です。図(a)~(c)に描かれた屈折の様子に対応する気象条件を、イ~ニから正しく組み合わせたものを選びます。
この問題のポイント
音は音速の遅い側へ屈折します。気温が高いほど、また風下方向ほど音速は速くなります。上空ほど気温が低い通常の大気(イ)では上空で音速が遅く、音は上向きに曲がって地表付近に音の届かない無音帯ができます。逆に上空ほど気温が高い逆転層(ロ)では音は下向きに曲がり、遠くまで届きます。風向が高さで変わる場合(ハ・ニ)は左右非対称の屈折になります。分かれ目は「上向き屈折=無音帯」「下向き屈折=遠くへ届く」という対応と、風向シアの向きです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(1)
各選択肢の正誤
| 図 | 気象条件(正解) | 起こる屈折 |
|---|---|---|
| (a) | ニ | 地表と上空で風向が変わり、左右非対称に屈折します。 |
| (b) | ロ | 上空ほど高温(逆転層)で音速が上空で速く、下向きに屈折します。 |
| (c) | イ | 上空ほど低温(通常)で音速が上空で遅く、上向きに屈折して無音帯ができます。 |
ここが分かれ目
音の屈折は、音速の速い層から遅い層へ向かうと音線が遅い側へ曲がるという性質で決まります(光の屈折と同じ考え方)。気温が上がると音速は速くなります(およそ0.6 m/s/℃)。通常の大気は上空ほど気温が低い(イ)ので音速も上空で遅く、音線は上向きに曲がって、地表付近に音の届かない無音帯(音の影)が生じます。放射冷却などで上空ほど気温が高い逆転層(ロ)では、上空で音速が速いため下向きに屈折し、遠方まで音が届いて夜間に騒音が大きく感じられます。風の場合も同様で、風速は高さとともに変わるため、追い風側では下向き、向かい風側では上向きに屈折します。地表と上空で風向が逆になる(ハ・ニ)と左右非対称の屈折になります。図(a)は風向シア、(b)は下向き屈折、(c)は上向き屈折に対応し、正しい組合せは選択肢(1)です。
覚え方
- 音は音速の遅い側へ屈折(高温・追い風ほど音速が速い)。
- 通常大気(上空ほど低温)=上向き屈折で無音帯ができる。
- 逆転層(上空ほど高温)=下向き屈折で遠くまで届く。
理解度チェック
夜間に遠くの音がよく聞こえるのはなぜ?
放射冷却で上空ほど気温が高い逆転層ができ、音が下向きに屈折して地表へ戻ってくるためです。
通常の大気で地表付近に無音帯ができる理由は?
上空ほど気温が低く音速が遅いため、音が上向きに屈折して地表へ届かなくなるからです。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和4年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動概論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月