令和5年度 公害防止管理者 汚水処理特論 問11を解説|汚泥滞留時間と余剰汚泥量
令和5年度 汚水処理特論 問11は、標準活性汚泥法の汚泥滞留時間(SRT)から余剰汚泥の引き抜き量を求める計算問題です。最も近い値を選びます。
この問題のポイント
汚泥滞留時間(SRT)は、系内にある汚泥を1日に出ていく汚泥の量で割った「汚泥が系内にとどまる平均日数」です。これを一定に保つには、毎日それに見合う量の汚泥を抜く必要があります。計算の分かれ目は、系内の汚泥量に曝気槽だけでなく沈殿池・配管内の汚泥も足すことと、抜く汚泥を体積に直すときに薄い曝気槽濃度ではなく濃縮された返送汚泥の濃度を使うことです。さらに処理水とともに流れ出るSS分も「系外へ出る汚泥」として効いてきます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 引き抜き量 | 判定 |
|---|---|---|
| (1) | 0.8 m³/日 | 小さすぎます。系内汚泥量や返送濃度の扱いがずれると出やすい値です。 |
| (2) | 1.0 m³/日 | 小さすぎます。沈殿池・配管内の汚泥を足し忘れると近い値になります。 |
| (3) | 1.6 m³/日 | 過小です。返送汚泥濃度を低めに見積もると出やすい値です。 |
| (4) | 2.2 m³/日 | 正解。系内全汚泥140kgをSRT10日で割り、処理水流出SS分を差し引いてから返送汚泥濃度で体積に直すと約2.2m³/日になります。 |
| (5) | 2.8 m³/日 | 大きすぎます。処理水流出SS分を差し引かないなどで過大になります。 |
選択肢(4)のポイント(計算の手順)
SRT=(系内の全汚泥量)÷(1日に系外へ出る汚泥量)の関係から、引き抜き量を逆算します。
- 系内の全汚泥量:曝気槽 50m³×2000mg/L=100kg に、沈殿池・配管内の40kg を足して140kg。
- 1日に系外へ出る汚泥量:SRT10日で運転するには 140kg÷10日=14kg/日 を系外へ出す必要があります。
- 処理水と一緒に流出するSS:流入水量200m³/日×処理水SS5mg/L=1kg/日。これも系外へ出る汚泥の一部です。
- 余剰汚泥として抜く固形物量:14kg/日 − 1kg/日 =13kg/日。
- 体積に直す:余剰汚泥は返送ライン側の濃縮された汚泥です。返送汚泥率0.5から返送汚泥濃度は MLSS×(1+0.5)/0.5=2000×3=6000mg/L=6kg/m³。13kg/日÷6kg/m³=約2.2m³/日。
系内汚泥に沈殿池・配管分を加えること、流出SS分を引くこと、薄い曝気槽濃度ではなく濃い返送汚泥濃度で体積に直すことが、正解にたどり着く三つの要点です。
覚え方
- SRT=系内の全汚泥量 ÷ 1日に系外へ出る汚泥量。
- 系内汚泥は曝気槽だけでなく沈殿池・配管内も足す。
- 余剰汚泥を体積へ直すときは返送汚泥の濃い濃度を使う。
理解度チェック
Q.
SRTを求めるとき、系内の汚泥量に含めるのは曝気槽の汚泥だけ?
いいえ。沈殿池や配管内の汚泥も足します。本問では曝気槽100kgに沈殿池・配管40kgを加えて140kgとします。
Q.
引き抜いた汚泥を体積に直すとき、どの濃度を使う?
余剰汚泥は返送ライン側から抜くので、濃縮された返送汚泥の濃度を使います。曝気槽の薄いMLSS濃度で割ると体積を過大評価します。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和5年度 公害防止管理者等国家試験 汚水処理特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年6月