令和7年度 大規模大気特論 問1は、乱流拡散に関する正誤問題です。誤っているものを選びます。
大気中で煙が広がるのは、分子が一つずつばらばらに動く分子拡散ではなく、大小さまざまな渦が不規則にかき混ぜる乱流拡散が主役です。拡散の速さは渦(乱れ)の大きさや変動周期に左右され、観測する平均化時間によって拡散係数の見かけの値も変わります。引っかけの核心は、乱流拡散係数が分子拡散係数の何倍になるかという桁の感覚です。乱流による混合は分子拡散とは比べものにならないほど効率がよく、両者の比は数百倍どころではありません。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(誤っている記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 大気中の大小さまざまな渦による不規則な運動で煙が広がる現象を乱流拡散と呼びます。定義として正しい記述です。 |
| (2) | ○(正しい) | 乱流拡散の速さは渦(乱れ)の大きさや変動周期に依存します。乱れの性質で拡散が決まるという正しい記述です。 |
| (3) | ○(正しい) | 乱流拡散係数は濃度を測る時間(平均化時間)に応じて変わります。観測時間が長いほど蛇行を取り込み大きくなる正しい記述です。 |
| (4) | ×(誤り) | 乱流拡散係数が分子拡散係数の100〜1000倍程度にとどまるとする点が誤りです。実際の差はこれより桁違いに大きく、過小評価になっています。 |
| (5) | ○(正しい) | 水平方向の乱流変動には数時間以上におよぶ長周期の成分も含まれます。風向の蛇行などを指す正しい記述です。 |
分子拡散は分子のランダムな熱運動による混合で、大気スケールでは非常に遅い現象です。これに対し乱流拡散は無数の渦がかき混ぜるため、混合の効率はけた違いに大きくなります。選択肢(4)は両者の比を「100〜1000倍程度」と小さく見積もっている点が誤りで、実際の乱流拡散係数は分子拡散係数よりはるかに大きい値です。「乱流の方が大きい」方向は正しくても、その大きさを過小に書いた数値の引っかけです。
大気中で煙が広がる主な仕組みは、分子拡散と乱流拡散のどちら?
乱流拡散です。大小の渦による不規則な運動が煙をかき混ぜます。分子拡散は大気スケールでは非常に遅く、主役にはなりません。
乱流拡散係数と分子拡散係数の大きさを比べると?
乱流拡散係数の方がけた違いに大きくなります。渦による混合は分子の熱運動による拡散よりはるかに効率がよいためです。
この問題に関連する用語解説
出典
※ この記事の確認日:2026年6月