令和元年度 公害防止管理者 大規模大気特論 問5を解説|正規形プルームモデルの適用限界
令和元年度 大規模大気特論 問5は、基礎的な正規形プルームモデルによる拡散計算の適用限界に関する問題です。どのような場合に正しく計算できないかの記述のうち、誤っているものを選びます。
この問題のポイント
正規形プルームモデルは、煙が風に流されながら正規分布状に広がると仮定した基礎的なモデルです。無風・複雑地形・周辺建物・反応性物質といった、この仮定が崩れる場面では正しく計算できません。分かれ目は「重いガスには適用できない」の理由づけで、分子量が空気の2倍以上あるかどうかという線引き自体が適用可否の基準にはならない、という点です。密度が空気と大きく違わなければ、分子量に関係なく計算できます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 低い煙突で周辺建物の影響を受けると気流が乱れ、モデルの前提が崩れるため正しく計算できません。 |
| (2) | ○(正しい) | 式は風速で割る形なので、無風に近いと値が発散し、正しく計算できません。 |
| (3) | ○(正しい) | 数km内に山や谷がある複雑地形では、平坦な一様流の前提が成り立たず適用できません。 |
| (4) | ×(誤り) | 分子量が空気の2倍以上という線引き自体が適用可否の基準ではなく、密度が空気と大きく違わなければ適用できます。 |
| (5) | ○(正しい) | 基礎的なモデルは化学反応や二次生成を扱わないため、オゾンのような反応性物質には適用できません。 |
選択肢(4)のポイント(ここが誤り)
基礎的な正規形プルームモデルは、汚染物質が空気と一緒に流されて広がると考えるため、密度が空気とほぼ同じであることを前提にしています。問題になるのは分子量そのものではなく、煙が周囲の空気に対して重くて沈み込むほどの密度差があるかどうかです。選択肢(4)は「分子量が空気の平均分子量の2倍以上なら適用できない」と、分子量の大小で線を引いていますが、この基準は成り立ちません。実際、二酸化硫黄は分子量が約64で空気の2倍以上ありますが、通常の排ガス濃度では密度差が小さく、正規形プルームモデルで扱えます。
覚え方
- 適用可否を決めるのは分子量ではなく空気との密度差。
- 正規形プルームが苦手な場面=無風・複雑地形・低い煙突・反応性物質。
- 式は風速で割る形。無風では値が発散して使えない。
理解度チェック
重いガスに正規形プルームモデルが使えるかを分けるのは?
分子量の大小ではなく、煙が周囲の空気に対して密度差で沈み込むかどうかです。密度が空気と大きく違わなければ、分子量が大きくても適用できます。
なぜ無風に近いと正しく計算できない?
正規形プルームの式は風速で割る形になっているため、風速がゼロに近づくと計算値が発散してしまうからです。無風時は別のモデルで扱います。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和元年度 公害防止管理者等国家試験 大規模大気特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月