令和元年度 公害防止管理者 大規模大気特論 問1を解説|煙の拡散に関する記号
令和元年度 大規模大気特論 問1は、煙の拡散に関連する記号の説明に関する問題です。有効煙突高さや温位などの記号の意味のうち、誤っているものを選びます。
この問題のポイント
拡散計算で使う記号の定義を、言葉どおりに正しく押さえているかを問う問題です。有効煙突高さ・最大着地濃度・乾燥断熱減率・温位はいずれも定義そのままで、迷いにくい選択肢が並びます。分かれ目は排出熱量の定義で、これは排ガスがどれだけ「余分な熱」を持って出るかを表す量です。周囲の空気より高温な分(温度差)に比例するのであって、排ガスの絶対温度そのものを掛けた量ではない、という点に注意します。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(5)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 有効煙突高さは、実際の煙突高さに煙が浮力・運動量で上昇する分(煙上昇高さ)を足したもので、定義どおりです。 |
| (2) | ○(正しい) | 最大着地濃度は、煙源の風下側で地表濃度が最も高くなる値を指します。表記も定義も正しい記述です。 |
| (3) | ○(正しい) | 乾燥断熱減率は、乾燥した空気塊が断熱的に上昇するときの気温の下がり方(約1℃/100m)で、正しい対応です。 |
| (4) | ○(正しい) | 温位は、その空気を標準気圧(1000 hPa)まで断熱的に持ってきたときの温度で、定義どおりです。 |
| (5) | ×(誤り) | 排出熱量は排ガス量と外気温との温度差に比例する量で、排ガスの絶対温度をそのまま掛けたものではありません。 |
選択肢(5)のポイント(ここが誤り)
排出熱量は、煙上昇高さを決める「浮力のもと」となる量です。煙が上昇するのは、排ガスが周囲の空気より高温で軽いからで、効いてくるのは排ガス温度と外気温との差です。したがって排出熱量は、排ガス量に温度差を掛けた形で表されます。選択肢(5)はこれを「排ガスの絶対温度との積」としており、温度差ではなく温度そのものを掛けている点が誤りです。仮に排ガスと外気が同じ温度なら余分な熱はゼロで煙は浮き上がりませんが、絶対温度の積で考えると値がゼロにならず、物理的にもつじつまが合いません。
覚え方
- 有効煙突高さ=実煙突高さ+煙上昇高さ。
- 排出熱量が効くのは「絶対温度」ではなく外気との温度差。同じ温度なら浮力ゼロ。
- 温位=標準気圧1000 hPaに戻したときの温度。上層の空気同士を公平に比べる物差し。
理解度チェック
排出熱量は排ガスの何に比例する量?
排ガス量と、排ガス温度と外気温との温度差に比例します。排ガスの絶対温度をそのまま掛けたものではありません。温度差が大きいほど浮力が強く、煙は高く上がります。
温位とはどんな温度のこと?
ある空気を、標準気圧の1000 hPaまで断熱的に移動させたときに示す温度です。気圧が違う高さの空気を同じ土俵で比べるための指標で、大気の安定・不安定の判定に使います。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和元年度 公害防止管理者等国家試験 大規模大気特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月