令和5年度 公害防止管理者 大規模水質特論 問10を解説|大規模食料品製造工場の排水処理
令和5年度 大規模水質特論 問10は、大規模な食料品製造工場(ビール工場・清涼飲料水工場など)の排水処理に関する正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
食料品工場の排水は有機物が多く、ビール工場では活性汚泥法の前段にUASBを置く二段処理や、そこで出るメタンガスで発電する例があります。清涼飲料水工場の排水は糖質や有機酸が主で、水質の変動が大きいため滞留時間の長い処理が選ばれることもあります。引っかけの核心は、放流先が下水道か公共用水域かです。下水道へ放流する場合は、その先の終末処理場(下水処理場)で処理されるため、工場側で凝集沈殿+砂ろ過+活性炭吸着といった高度処理を追加する必要はありません。高度処理が要るのは、公共用水域へ直接放流する場合です。選択肢(2)はこの放流先を取り違えています。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(2)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | ビール工場で活性汚泥法の前段にUASBを導入し、二段処理を行う例があります。正しい記述です。 |
| (2) | ×(誤り) | 下水道放流なら終末処理場で処理されるため、工場側で高度処理を追加する必要はありません。追加が必要とする点が誤りです。 |
| (3) | ○(正しい) | UASBで生成したメタンガスを用いて発電する例があります。正しい記述です。 |
| (4) | ○(正しい) | 清涼飲料水工場の排水中の有機物は、ほとんどが糖質と有機酸です。正しい記述です。 |
| (5) | ○(正しい) | 清涼飲料水工場の総合排水は変動が大きく、滞留時間の長い処理方式がとられることがあります。正しい記述です。 |
選択肢(2)のポイント(ここが誤り)
工場排水の行き先には、公共用水域(河川・海など)への直接放流と、公共下水道への下水道放流の2通りがあります。下水道へ流す場合、その水は終末処理場でまとめて処理されてから公共用水域に出るため、工場側は下水道への受入基準を満たせばよく、COD総量規制に合わせた凝集沈殿+砂ろ過+活性炭吸着のような高度処理を工場で追加する必要はありません。高度処理まで求められるのは、終末処理場を経ずに公共用水域へ直接放流する場合です。選択肢(2)は、下水道放流なのに直接放流と同じ高度処理を工場に求めている点が誤りです。
覚え方
- 下水道放流は終末処理場で処理される=工場での高度処理追加は不要。
- 高度処理が要るのは公共用水域への直接放流。放流先で判断。
- ビール工場は活性汚泥の前段にUASB=メタン発生・発電にも活用。
理解度チェック
下水道へ放流する工場は、なぜ高度処理を追加しなくてよい?
放流先の終末処理場でまとめて処理されるためです。工場は下水道への受入基準を満たせば足ります。
ビール工場で活性汚泥法の前段に置くUASBの利点は?
高濃度の有機物を嫌気的に分解して負荷を下げられ、生成したメタンガスを発電などに使える点です。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和5年度 公害防止管理者等国家試験 大規模水質特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月