令和5年度 公害防止管理者 大規模水質特論 問1を解説|富栄養化した閉鎖性海域
令和5年度 大規模水質特論 問1は、富栄養化が進んだ閉鎖性海域で起きる現象に関する正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
閉鎖性海域は外洋との水の入れ替わりが乏しく、流れ込んだ窒素・りんがたまって富栄養化が進みます。夏に水温差で上下が混ざらなくなる成層期には、表層で植物プランクトンが増えてCODが内部生産され、逆に下層は酸素が供給されず貧酸素化して海底も嫌気的になります。引っかけの核心は、生活環境項目に加わった溶存酸素の指標が表層か底層かです。近年追加されたのは底層の溶存酸素量(底層DO)であり、貧酸素化が進む底層を守るための項目です。選択肢(3)はこれを「表層」と取り違えています。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 閉鎖性海域は外洋との水交換が悪く、流入した汚染物質が長くとどまります。正しい記述です。 |
| (2) | ○(正しい) | 夏季の成層期は表層で植物プランクトンが増え、CODの内部生産が活発になります。正しい記述です。 |
| (3) | ×(誤り) | 生活環境項目に追加されたのは底層の溶存酸素量であり、「表層」とする点が誤りです。 |
| (4) | ○(正しい) | 成層期は下層に酸素が届かず、貧酸素水塊ができやすくなります。正しい記述です。 |
| (5) | ○(正しい) | 成層期は海底堆積物への酸素供給が絶たれ、嫌気的な環境になりやすくなります。正しい記述です。 |
選択肢(3)のポイント(ここが誤り)
溶存酸素量は長く生活環境項目の外にありましたが、貧酸素水塊による底生生物へのダメージを防ぐため、水質環境基準の生活環境項目に底層溶存酸素量(底層DO)が追加されました。守るべき対象は、夏季の成層期に酸素が枯れて生き物がすめなくなる底層です。表層はむしろ植物プランクトンの光合成で酸素が過剰になりがちな側で、保全のために基準を設ける必要が薄い層です。選択肢(3)は、追加された溶存酸素の指標を底層ではなく表層と取り違えている点が誤りです。
覚え方
- 生活環境項目に加わった溶存酸素は底層DO(底層溶存酸素量)。守るのは酸素が枯れる下層。
- 成層期は上が暖かく下が冷たいフタ状態。表層で生産、下層で貧酸素・嫌気化。
理解度チェック
生活環境項目に追加された溶存酸素の指標は、表層と底層のどちら?
底層です。貧酸素水塊で底生生物が失われるのを防ぐため、底層溶存酸素量(底層DO)が追加されました。
夏季の成層期に下層で起きることは?
上下が混ざらず酸素が供給されないため、下層に貧酸素水塊ができ、海底堆積物も嫌気的になります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和5年度 公害防止管理者等国家試験 大規模水質特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月