1. HOME
  2. 過去問解説
  3. 大規模水質特論
  4. 令和2年
  5. > 問9 製紙工場の合理化

令和2年度 公害防止管理者 大規模水質特論 問9を解説|製紙工場の合理化

令和2年度 大規模水質特論 問9は、製紙工場における水使用や排出負荷の合理化に関する正誤問題です。誤っているものを選びます。

この問題のポイント

製紙工場では、木材を薬品で煮る蒸解、パルプの漂白、紙をすく抄紙といった各工程で、水や薬品を回収して繰り返し使う工夫がなされています。引っかけの核心は、蒸解で使った黒液を回収ボイラーで燃やしたあと、炉の底に残る溶融無機物が「何の薬品」に生まれ変わるかです。この溶けた無機物は苛性化を経て、木材を煮るための蒸解薬品として再生されます。紙を白くする漂白薬品ではありません。選択肢(2)は、この再生先を「漂白薬品」と取り違えています。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(2)(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)○(正しい)黒液の濃縮工程で出る水蒸気の凝縮水は、洗浄工程で利用されます。正しい記述です。
(2)×(誤り)回収ボイラー炉底の溶融無機物は蒸解薬品として再生されます。「漂白薬品として再生利用」とした点が誤りです。
(3)○(正しい)蒸解を均一にし洗浄や酸素脱リグニンを進めれば、漂白薬品の使用量や排水の汚濁負荷を減らせます。正しい記述です。
(4)○(正しい)抄紙工程では白水が循環利用され、余分な白水は白水回収装置で浮上分離して原料を回収します。正しい記述です。
(5)○(正しい)白水回収装置で原料を回収したあとの水は、抄紙工程の希釈水として使えます。正しい記述です。

選択肢(2)のポイント(ここが誤り)

クラフトパルプの製造では、木材を煮る蒸解薬品(白液)が使われ、煮終わった液は黒液として回収されます。黒液を濃縮して回収ボイラーで燃やすと、有機分はエネルギー源になり、燃え残った無機分が炉の底に溶けた塊(溶融無機物)としてたまります。この溶融無機物は水に溶かして苛性化する工程を経て、ふたたび木材を煮るための蒸解薬品として再生されます。つまり戻る先は蒸解の薬品であって、紙を白くする漂白薬品ではありません。選択肢(2)は、この再生先を漂白薬品と取り違えている点が誤りです。

覚え方

  • 黒液を燃やして残る溶融無機物=蒸解薬品として再生(漂白薬品ではない)。
  • 黒液の有機分は回収ボイラーでエネルギー源に。
  • 抄紙工程の白水は循環利用し、白水回収装置で原料を回収。

理解度チェック

Q.

回収ボイラー炉底の溶融無機物は、何の薬品として再生される?

蒸解薬品です。苛性化を経て、木材を煮る薬品として使い回されます。漂白薬品ではありません。

Q.

濃縮した黒液を回収ボイラーで燃やす目的は?

有機分をエネルギー源として利用しつつ、無機分を回収して蒸解薬品に再生するためです。

令和2年 大規模水質特論 過去問解説 一覧へ

出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「令和2年度 公害防止管理者等国家試験 大規模水質特論 問題・正解」(公式PDF