令和元年度 公害防止管理者 大規模水質特論 問8を解説|製油所の排水
令和元年度 大規模水質特論 問8は、製油所とそこからの排水に関する正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
製油所は原油を常圧蒸留で沸点差により分け、燃料の低硫黄化のため水素化脱硫を行います。排水には油分・フェノール・硫化物が特徴的に含まれ、BODやCODは活性汚泥法で処理します。引っかけの核心は、油分を分離するAPIオイルセパレーターの実力です。これは比重差による重力分離で、浮いてくる粗い油を取り除く装置です。乳化した細かい油までは取りきれないため、1〜5ppmといった低い濃度は重力分離だけでは達成できません。選択肢(4)はこれを「容易に達成できる」と過大に書いています。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 原油は常圧蒸留で沸点差によりガス・ナフサ・灯油・軽油などに分けます。正しい記述です。 |
| (2) | ○(正しい) | 大気汚染対策として燃料の低硫黄化が求められ、水素化脱硫が行われます。正しい記述です。 |
| (3) | ○(正しい) | 製油所排水には油分・フェノール・硫化物が特徴的に含まれます。正しい記述です。 |
| (4) | ×(誤り) | API分離は粗い油の除去用で、1〜5ppmは重力分離だけでは達成できないため、「容易に達成」とする点が誤りです。 |
| (5) | ○(正しい) | BOD・COD・フェノールは好気性の活性汚泥法で除去します。正しい記述です。 |
選択肢(4)のポイント(ここが誤り)
APIオイルセパレーターは、油と水の比重差を使った重力分離で、水面に浮いてくる粗い油分をすくい取る装置です。取り除けるのは比較的大きな油滴までで、水に細かく分散した乳化油までは分離できません。そのため処理水の油分濃度をここだけで1〜5ppmのような低い値にするのは無理があり、加圧浮上や凝集、生物処理などの後段処理が別に必要です。選択肢(4)は、粗い油を取るだけのAPI分離で低濃度まで「容易に達成できる」としている点が誤りです。
覚え方
- APIオイルセパレーター=重力分離で粗い油だけ。乳化油は取れない。
- 低濃度(1〜5ppm)まで下げるには加圧浮上・凝集・生物処理など後段が必要。
理解度チェック
Q.
APIオイルセパレーターで取り除けるのはどんな油?
比重差で浮いてくる粗い油分です。重力分離なので、水に細かく分散した乳化油は取り除けません。
Q.
製油所排水に特徴的に含まれる汚濁成分は?
油分・フェノール・硫化物です。BODやCOD、フェノールは活性汚泥法で処理します。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和元年度 公害防止管理者等国家試験 大規模水質特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月