イオン交換樹脂の違い(強酸性陽イオンと強塩基性陰イオン)
イオン交換樹脂って「陽イオン用」「陰イオン用」があるけど、どっちがどっちの基をもつの?で迷いませんか。活性基と交換するイオンをセットで整理します。
イオン交換は、水中の重金属イオンや塩類などを、樹脂の表面にくっついたイオンと入れ替えて取り除く方法です。樹脂は、相手にする電気の符号(プラスかマイナスか)で2種類に分かれます。
同じ物理化学処理でも、溶けた有機物が相手なら活性炭吸着、というように対象に応じて使い分けます。
強酸性陽イオン交換樹脂(スルホン酸基・陽イオン)
強酸性陽イオン交換樹脂とは、活性基としてスルホン酸基をもち、水中の陽イオン(カルシウムイオン・ナトリウムイオン・重金属イオンなど)を交換して捕らえる樹脂です。
樹脂についている水素イオンと、水中の陽イオンが入れ替わることで、陽イオンが樹脂に取り込まれます。
強塩基性陰イオン交換樹脂(第四級アンモニウム基・陰イオン)
強塩基性陰イオン交換樹脂とは、活性基として第四級アンモニウム基をもち、水中の陰イオンを交換して捕らえる樹脂です。
樹脂についている水酸化物イオンと、水中の陰イオンが入れ替わることで、陰イオンが樹脂に取り込まれます。
強酸性陽イオン交換樹脂=スルホン酸基で陽イオン、強塩基性陰イオン交換樹脂=第四級アンモニウム基で陰イオンを交換。
使い方の注意(前処理・濃度・再生)
イオン交換を使うときの注意点も、あわせて押さえます。
- 前処理……油分やコロイド状有機物を多く含む原水を直接通すと、樹脂の性能が劣化するので、前処理が必要です。
- 濃度……イオン濃度が高い(2000mg/Lを超えるような)場合は、処理コストの面から、イオン交換より電気透析を検討します。
- 再生……使い切った樹脂は、捕らえたイオンを追い出して再び使えるようにします(再生)。再生には酸(陽イオン樹脂)やアルカリ(陰イオン樹脂)を使います。
汚水処理特論での問われ方
イオン交換は、汚水処理特論で、活性基と交換するイオンの組合せや、再生・前処理として問われます。
令和7年度の汚水処理特論(問6)では、「スルホン酸基=強酸性陽イオン交換樹脂」「第四級アンモニウム基=強塩基性陰イオン交換樹脂」「高濃度では電気透析を検討」などが正しい記述として並びました。一方で、イオン交換樹脂の再生に「次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤を用いる」とするのは誤りでした。再生は酸・アルカリで行います(酸化剤は樹脂を傷めます)。
混同しやすい用語
強酸性陽イオン交換樹脂 と 強塩基性陰イオン交換樹脂
活性基の名前と、交換するイオンの符号を取り違えやすいところです。
陽イオン用はスルホン酸基(強酸性)、陰イオン用は第四級アンモニウム基(強塩基性)です。
「酸性=陽イオン=スルホン酸基」「塩基性=陰イオン=第四級アンモニウム基」とセットで覚えます。
理解度チェック
強酸性陽イオン交換樹脂と強塩基性陰イオン交換樹脂は、それぞれどんな活性基をもち、どちらのイオンを交換するか。
答え:強酸性陽イオン交換樹脂=スルホン酸基で陽イオン、強塩基性陰イオン交換樹脂=第四級アンモニウム基で陰イオン
「酸性=陽イオン」「塩基性=陰イオン」と対応させて覚えます。
使い切ったイオン交換樹脂の再生には、何を使うか。
答え:酸(陽イオン樹脂)やアルカリ(陰イオン樹脂)
次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤は、樹脂を傷めるため再生には使いません。
まとめ
イオン交換樹脂は、相手にするイオンの符号で2種類に分かれます。
強酸性陽イオン交換樹脂はスルホン酸基で陽イオンを、強塩基性陰イオン交換樹脂は第四級アンモニウム基で陰イオンを交換します。再生は酸・アルカリで行います。
高濃度なら電気透析を検討する、原水は前処理する、という運用上の注意もあわせて押さえます。
参考
- 水処理技術(イオン交換:強酸性陽イオン交換樹脂=スルホン酸基、強塩基性陰イオン交換樹脂=第四級アンモニウム基、酸・アルカリによる再生)
- 一般社団法人 産業環境管理協会 公害防止管理者等国家試験 汚水処理特論 出題範囲・公式正答(令和7年度 問6 ほか)
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
活性基と交換イオンの組合せ、そして再生に使う薬剤が狙われます。
イオン交換樹脂の再生は、酸・アルカリで行います。「次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤で再生する」とあれば誤りです。スルホン酸基=陽イオン、第四級アンモニウム基=陰イオン、の組合せもセットで押さえます。