消音器の種類と違い(吸音ダクト形・膨張形・共鳴形・干渉形)
エコまる
消音器って何種類もあるけど、どれがどんな音に効くの?
消音器(サイレンサー)は、ダクトや配管・排気管の中を伝わる騒音を、流れを止めずに下げる装置です。
工場の送風機や圧縮機、排気口などにつなぎ、空気や排ガスは通したまま、音だけを弱めます。
騒音・振動概論では、どの形式がどんな原理で、どの周波数に効くかが問われます。
消音器は「音の弱め方」で2系統に分かれる
消音器はいくつもありますが、音を弱める原理で見ると2系統です。
1つは吸音形で、吸音材に音のエネルギーを熱として吸わせる方式です。代表が吸音ダクト形です。
もう1つはリアクティブ形で、膨張形・共鳴形・干渉形がこれにあたります。音を吸うのではなく、反射させたり、逆位相でぶつけて打ち消したりします。
膨張形が音を弱めるのは断面の急変で起こる音の反射で、吸音のように熱に変えるわけではありません。
使い分けは、得意な周波数で決まります。吸音材は高い音ほどよく効き、低い音には効きにくいため、特に低周波音のような低い周波数の騒音には、反射・共鳴・干渉を使う形式が向きます。
吸音形は中〜高音の広帯域、膨張形は低〜中音、共鳴形・干渉形は特定の周波数が得意。低い音は吸音材で吸いにくい。
4タイプのしくみと得意な周波数
代表的な4形式を、原理と効く周波数で並べます。
| 形式 | 音の弱め方(原理) | 得意な周波数 |
|---|---|---|
| 吸音形(吸音ダクト形) | ダクト内壁にグラスウールなどの吸音材を内張りし、音のエネルギーを熱に変えて吸収する。 | 広帯域、特に中〜高音 |
| 膨張形(拡張形) | 管路の断面を急に広げた膨張室をはさみ、断面が不連続になる部分で音波を反射させて伝わりにくくする。 | 低〜中音 |
| 共鳴形(共鳴器形) | 管の側面に共鳴器(空洞や穴)をつなぎ、共鳴を利用して狙った周波数を打ち消す。 | 特定の周波数(低音域の卓越成分など) |
| 干渉形 | 音の通り道を2つに分け、経路差で半波長ずらして逆位相で重ね、干渉で打ち消す。 | 特定の周波数 |
膨張形・共鳴形・干渉形は、音を吸わずに反射・共鳴・干渉で弱めるため、まとめてリアクティブ形と呼ばれます。低い音や特定の周波数が目立つ騒音は、吸音材では落としにくいので、これらの形式が受け持ちます。
騒音・振動概論での問われ方
消音器は、各形式の伝達損失(音がどれだけ下がるかをデシベルで表した量)を求める計算問題として、ほぼ毎年出ています。
膨張形消音器は出題の中心で、伝達損失が最大になる、あるいはゼロになる周波数や、必要な膨張比を求める問題が、令和元年度(問3)・令和2年度(問1)・令和3年度(問3)・令和5年度(問2)・令和7年度(問3)と繰り返し問われました。
吸音ダクト形消音器は、目標の伝達損失を得るのに必要なダクトの長さや吸音材の吸音率が、令和3年度(問2)・令和6年度(問2)で問われています。
干渉形消音器は、伝達損失が最も小さくなる周波数を経路差から求める問題が、令和2年度(問2)で出ました。
共鳴のしくみ自体も、穴あき板と背後の空気層で作る吸音構造の固有周波数として令和3年度(問9)・令和6年度(問7)に、共鳴による音の増幅を避ける音源対策として令和元年度(問2)に問われています。
理解度チェック
吸音形(吸音ダクト形)消音器が音を弱める原理と、得意な周波数は何か。
吸音材に音のエネルギーを熱として吸収させます。広帯域に効き、特に中〜高音が得意です。低い音には効きにくくなります。
膨張形消音器が音を弱めるのは、吸収と反射のどちらか。
反射です。管の断面を急に広げ、断面が不連続になる部分で音波を反射させて伝わりにくくします。吸音材で吸うのではありません。
特定の周波数の音をねらって打ち消すのに向くのは、吸音形と共鳴形のどちらか。
共鳴形です(経路差を使う干渉形も特定の周波数向きです)。吸音形は広帯域型で、特定の低い周波数をねらい撃つのは苦手です。
まとめ
消音器は、音を弱める原理で吸音形とリアクティブ形(膨張形・共鳴形・干渉形)に分かれます。
得意な周波数は、吸音形が広帯域(特に中〜高音)、膨張形が低〜中音、共鳴形・干渉形が特定の周波数です。
「高い音は吸音、低い音や特定の周波数は反射・共鳴・干渉」と押さえれば、騒音・振動概論の消音器の問題で形式を取り違えずにすみます。
参考
- 消音器の分類と原理(吸音材型=吸収/抵抗形、膨張型=空洞型、共鳴器型、干渉型。膨張・共鳴・干渉を使うものはリアクティブ型)
- 日本機械学会 機械工学事典「消音器」/音響メーカー技術資料(吸音ダクト形・共鳴形の周波数特性)
- 一般社団法人 産業環境管理協会 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動概論 出題範囲・公式正答(令和元〜7年度 消音器の各問)
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
各形式の原理と、効く周波数の対応を入れ替える問題が狙われます。
「低い周波数の騒音には吸音形が最も効く」は誤りです。吸音材は高い音ほどよく効き、低音域や特定の周波数は、膨張形(反射)・共鳴形(共鳴)・干渉形(干渉)で抑えます。