騒音性難聴とTTS・PTSとは(一時的と永久的の聴力低下)
うるさい所にいると一時的に聞こえにくくなるけど、あれは元に戻る?戻らない?で迷いませんか。TTSとPTS、回復するかしないかで分けて整理します。
大きな騒音に長くさらされると、耳(聴力)に影響が出ます。その影響には、しばらくすると治るものと、治らないものがあります。
聴力は「どれだけ小さな音まで聞こえるか」で測られ、その下限は可聴範囲の最小可聴値にあたります。騒音による難聴は、この聞こえる最小の大きさ(閾値)が上がってしまう状態です。
TTSは一時的(回復する)
TTS(一過性閾値上昇)とは、騒音にさらされた直後に、一時的に聞こえにくくなる(聞こえる最小の音の大きさ=閾値が上がる)ことです。
ライブやうるさい作業のあとに、耳がぼんやりする状態がこれにあたります。静かな場所で休めば、時間が経つと回復します。TTSはTemporary Threshold Shift(一時的な閾値の上昇)の略です。
PTSは永久的(回復しない)
PTS(永久性閾値上昇)とは、強い騒音や長期間の暴露によって、回復しない永久的な聴力低下が残ることです。
TTSをくり返したり、強い騒音を浴び続けたりすると、PTSへ進むことがあります。PTSはPermanent Threshold Shift(永久的な閾値の上昇)の略です。こうした騒音が原因の難聴を、騒音性難聴(NIHL:Noise-Induced Hearing Loss)といいます。
TTSは閾値が一時的に上がっても時間が経つと回復、PTSは上がったまま回復しない。
関連する評価の用語
騒音の影響を評価する用語には、ほかにも次のものがあります(英語の略称とセットで問われます)。
- 会話妨害レベル(SIL)……騒音が会話をどれだけ妨げるかを表す
- 音声伝達指標(STI)……音声の伝わりやすさ(明瞭度)を表す
なお、音声伝達指標はSTIであって、WECPNL(加重等価平均感覚騒音レベル)は航空機騒音の指標で、別ものです。
騒音・振動概論での問われ方
これらは、騒音・振動概論で、用語と英語の略称の組合せとして問われます。
令和7年度の騒音・振動概論(問12)では、「一過性閾値上昇=TTS」「永久性閾値上昇=PTS」「騒音性難聴=NIHL」「会話妨害レベル=SIL」が正しい組合せとして並ぶなかで、「音声伝達指標=WECPNL」とするのが誤りでした。音声伝達指標はSTIで、WECPNLは航空機騒音の指標です。
混同しやすい用語
TTS(一過性) と PTS(永久性)
どちらも閾値が上がる(聞こえにくくなる)点は同じですが、回復するかどうかが違います。
TTSは一時的で時間が経つと回復、PTSは永久的で回復しません。
「Temporary=一時的=回復」「Permanent=永久的=回復しない」と、英語の意味で覚えると取り違えません。
理解度チェック
TTSとPTSは、それぞれ回復するか・しないか。
答え:TTS(一過性閾値上昇)は時間が経つと回復する、PTS(永久性閾値上昇)は回復しない
TTSをくり返すとPTSへ進むことがあります。
音声伝達指標の英語略称は何か。WECPNLか。
答え:STI。WECPNLではない(WECPNLは航空機騒音の指標)
用語と略称の組合せで、ここが引っかけになります。
まとめ
騒音による聴力低下には、一時的なものと永久的なものがあります。
TTS(一過性閾値上昇)は時間が経つと回復する一時的な低下、PTS(永久性閾値上昇)は回復しない永久的な低下です。騒音が原因の難聴を騒音性難聴(NIHL)といいます。
「TTS=一時的・回復/PTS=永久・回復しない」と、英語の意味から覚えておきます。
参考
- 騒音の健康影響(TTS=一過性閾値上昇・回復、PTS=永久性閾値上昇・回復しない、騒音性難聴NIHL、会話妨害レベルSIL・音声伝達指標STI)
- 一般社団法人 産業環境管理協会 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動概論 出題範囲・公式正答(令和7年度 問12 ほか)
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
TTSとPTSの回復するかどうか、用語と略称の組合せが狙われます。
TTS(一過性)は回復する、PTS(永久性)は回復しません。また、音声伝達指標はSTI(WECPNLは航空機騒音の指標)です。略称と意味をセットで押さえます。