騒音の影響(睡眠妨害・会話妨害・作業妨害・アノイアンス)
エコまる
騒音って、うるさいこと以外にどんな影響があるの?
騒音の影響は、聴力への直接的影響と、睡眠・会話・作業などを妨げる間接的影響に分かれます。
JIS Z 8106では、騒音を「不快な又は望ましくない音、その他の妨害」と定義しています。
騒音・振動概論では、睡眠妨害・会話妨害・作業への影響・アノイアンスが正誤問題で問われます。
騒音の影響は「直接的影響」と「間接的影響」に分かれる
騒音による聴力の低下は直接的影響です。
大きな騒音に長くさらされると聴力が下がり、騒音性難聴になります。
これに対し、会話や睡眠を妨げる生活妨害は、聴力そのものを損なうものではなく間接的影響に分類されます。
うるささや不快感などの心理的影響も、騒音の代表的な影響です。
騒音の影響は、次のように分類されます。
聴力低下は直接的影響、睡眠・会話・作業などの生活妨害とアノイアンスは間接的影響に分類される。
聴力低下は直接的影響、睡眠妨害・会話妨害・作業妨害などの生活妨害は間接的影響です。
睡眠妨害は最も低い騒音レベルで起こる
睡眠妨害は、種々の騒音影響の中で最も低い騒音レベルから起こります。
被害は、航空機騒音・道路交通騒音・鉄道騒音によるものが多いとされます。
睡眠は人の生理的欲求のため、妨げられると苦痛が大きく、環境基準でも夜間は昼間より厳しい値が定められています。
睡眠妨害には、寝つきの悪化のほか、夜間覚醒や睡眠深度の妨害があります。
WHOのガイドライン(1999)では、睡眠妨害を防ぐ寝室内の指針値を夜間 LAeq,8h 30 dB としています。
会話妨害(聴取妨害)と会話妨害レベル(SIL)
会話妨害(聴取妨害)は、相手の声やテレビの音声が騒音で聞き取りにくくなることです。
ある音が別の音にかき消されて聞こえにくくなる現象をマスキングといいます。
聴取妨害はマスキングによって起こるため、背景となる騒音が大きいほど会話妨害は大きくなります。
会話妨害の程度を表す指標が会話妨害レベル(SIL)です。
SILは、中心周波数 500・1000・2000・4000 Hz の4つのオクターブバンドの音圧レベルの算術平均で求め、値が大きいほど会話が妨害されます。
会話で十分な了解度を得るには、音声と騒音のレベル差(SN比)が最低 15 dB 必要とされます。
聞き取りやすさは、単音節を使う明瞭度試験や、文章を使う了解度試験で調べます。
背景騒音の大きさは騒音レベルで表され、これが大きいほど会話できる距離は短くなります。
作業(作業能率)への影響
騒音は作業の効率も下げます。
作業妨害は精神集中を妨げて起こるため、頭脳労働のような精神集中を必要とする作業ほど影響を受けやすいとされます。
単純な作業より複雑な作業のほうが、騒音の影響を受けやすいとされます。
騒音レベルが上昇するほど、作業能率は低下します。
アノイアンス(うるささ・不快感)
アノイアンスは、騒音によるうるささや不快感を表す概念です。
英語のアノイアンスには「苛立ち」「悩み」「腹立ち」といった被害感が含まれ、騒音被害を評価するために導入されました。
JIS Z 8106の定義にある「妨害」のうち、うるささ(アノイアンス)は主として心理的・情緒的な影響を与えます。
騒音・振動概論での問われ方
影響の分類や、どの影響がどのレベルで起こるかを入れ替える正誤問題が定番です。
令和6年度 騒音・振動概論 問11では、騒音をJIS Z 8106の「不快な又は望ましくない音、その他の妨害」と定義し、うるささ=アノイアンス、聴力低下=直接的影響、生活妨害=間接的影響とする組合せが問われました。
令和5年度 騒音・振動概論 問13では、「聴取妨害は騒音性難聴の進んだ人だけに起こる」という記述が誤りでした。聴取妨害は健常者にも起こります。
令和2年度 騒音・振動概論 問13では、「精神作業よりも肉体作業のほうが騒音の影響を受けやすい」という記述が誤りでした。影響を受けやすいのは精神作業のほうです。
令和4年度 騒音・振動概論 問13では、「睡眠妨害は健常な若年者に対して影響が大きい」という記述が誤りでした。
令和7年度 騒音・振動概論 問12では、会話妨害レベルの略称をSILとする組合せは正しく、「音声伝達指標」をWECPNLとする組合せが誤りでした。
理解度チェック
騒音による聴力低下は、直接的影響と間接的影響のどちらか。
直接的影響です。睡眠妨害・会話妨害・作業妨害などの生活妨害は間接的影響に分類されます。
作業能率への影響は、精神作業と肉体作業のどちらが受けやすいか。
精神作業(頭脳労働)のほうが受けやすいとされます。精神集中を必要とする作業ほど騒音の影響を受けます。
会話妨害の程度を表す指標「会話妨害レベル」の略称は何か。
SILです。中心周波数500・1000・2000・4000 Hzのオクターブバンド音圧レベルの算術平均で求めます。
睡眠妨害は、種々の騒音影響の中でどのレベルで起こるか。
最も低い騒音レベルから起こります。聴力低下が起こるよりもずっと低いレベルで生じます。
まとめ
騒音の影響は、聴力低下=直接的影響、睡眠妨害・会話妨害・作業妨害=間接的影響(生活妨害)に分かれます。「睡眠妨害は最も低いレベルで起こる」「会話妨害は背景騒音が大きいほど大きい」「作業は精神作業のほうが影響を受けやすい」の3点を押さえれば、騒音・振動概論の影響の問題は取りきれます。
参考
- JIS Z 8106:2000(音響用語)/加来治郎「音響の基礎:騒音の影響と評価・規制方法」(小林理学研究所、総務省 公害等調整委員会 掲載資料)
- 一般社団法人 産業環境管理協会 公害防止管理者等国家試験(騒音・振動概論 令和2・4・5・6・7年)・公式正答
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
「どちらが影響を受けやすいか」の向きが狙われます。
作業能率への影響は、肉体作業よりも精神作業(頭脳労働)のほうが受けやすい点に注意します。聴取妨害は騒音性難聴の人だけでなく、健常者にも起こります。