デシベル(dB)の合成(足し算)|同じ音を2つ足すと+3dB
エコまる
60dBの音を2つ重ねたら120dBになるの?
騒音の大きさは騒音レベル(デシベル、dB)という単位で表します。
デシベル(dB)の合成とは、複数の音が重なったときの騒音レベルを求める計算です。
このdBは、長さや重さのようにそのまま足し算できません。
デシベルは単純な足し算ができない
dBは、基準の音と比べて何倍かを対数で表した単位です。
対数で表した数どうしは、そのまま足しても元の量の足し算にはなりません。
たとえば60dBの音と60dBの音を重ねても、60+60=120dBにはなりません。
合成後の騒音レベルは約63dBで、もとより3dBほど大きくなるだけです。
合成は「音の強さ(エネルギー)」で足す
音を合成するときは、レベルの数値ではなく、もとの音の強さ(エネルギー)どうしを足します。
2つの音圧レベルL1、L2(dB)を合成した値Lは、次の式で求めます。
L = 10 log10(10(L1/10) + 10(L2/10))
各レベルを10で割って10のべき乗に戻すと、それが音の強さの比にあたります。
それを足してから、もう一度対数(10 log)でレベルに直します。
同じ大きさの音が2つなら、音の強さは2倍です。
音の強さが2倍になると、レベルは約3dB上がります(10 log102 ≒ 3)。
だから、同じ大きさの音を2つ足すと、騒音レベルは約3dB増えるだけです。
60dB+60dBなら、10 log10(106+106)=約63dBになります。
同じ音をいくつ足すと?(10個で+10dB)
同じ大きさの音をn個合成すると、レベルは 10 log10n だけ上がります。
数が2倍になるごとに約3dBずつ増え、10倍で10dB増えます。
| 同じ音の数 | 上がるレベル |
|---|---|
| 2個 | 約 +3dB |
| 4個 | 約 +6dB |
| 10個 | +10dB |
たとえば同じ機械を10台並べても、騒音レベルは10dB上がるだけで、10倍の数値にはなりません。
レベル差が大きいと大きいほうが支配する
大きさのちがう2つの音を足すときは、レベル差で増え方が決まります。
合成値は「大きいほうのレベル+補正値」で求められ、補正値はレベル差が大きいほど小さくなります。
合成値=大きいほうのレベル+補正値。差0dB(同じ大きさ)で+3.0dB、差が10dBあると+0.4dBで、小さいほうの音はほとんど効かない。
| 2つの音のレベル差 | 大きいほうに足す補正値 |
|---|---|
| 0dB(同じ大きさ) | 約 +3.0dB |
| 3dB | 約 +1.8dB |
| 6dB | 約 +1.0dB |
| 10dB | 約 +0.4dB |
レベル差が10dBあると補正は約0.4dBで、小さいほうの音はほとんど効きません。
たとえば60dBと70dBを合成しても約70.4dBで、大きい70dBがほぼそのまま残ります。
工場に機械が複数あるときは、各音源が測定点でつくる音圧レベルを距離減衰から求め、それらを合成します。
騒音・振動概論での問われ方
合成や平均を音の強さ(エネルギー)で扱えるか、が数値問題で問われます。
令和7年度 騒音・振動概論 問17では、4つの音圧レベル58・60・65・69dBのエネルギー平均が問われました。
答えは約65dBで、数値をそのまま平均した63dBより高くなります。大きい音の寄与が効くためです。
令和7年度 騒音・振動特論 問14では、2台合わせて90dB、片方だけで86dBのとき、もう1台が単独で出す音圧レベルが約88dBと問われました。
90から86を引いて4dBではなく、音の強さで引き算します(90dBの合成は86dBと88dBのエネルギーの和にあたります)。
令和元年度 騒音・振動特論 問13では、対象の騒音と暗騒音のレベル差が10dB以上あれば、暗騒音の影響はほぼ無視できる、とされています。
これも、レベル差が大きいと小さいほうが効かないという、合成の裏返しです。
理解度チェック
60dBの音と60dBの音を同じ場所で重ねると、合成後の騒音レベルは約何dBか。
約63dBです。同じ大きさの音2つは音の強さが2倍で、2倍は約+3dBにあたります。120dBにはなりません。
同じ大きさの音を10個合成すると、レベルは約何dB上がるか。
+10dBです。同じ音n個の合成は 10 log10n。10個なら 10 log1010=10dB上がります。数が2倍になるごとに約+3dBです。
70dBの音と60dBの音を合成すると、約何dBか。
約70.4dBです。レベル差が10dBあると補正は約0.4dBで、大きいほうの70dBがほぼそのまま残ります。
まとめ
デシベルの合成は、レベルの数値ではなく音の強さ(エネルギー)で足します。
同じ大きさの音2つで約+3dB、10個で+10dB、レベル差が10dBあれば大きいほうがほぼ支配(補正約+0.4dB)です。
この「合成はエネルギー」「差が倍率」という考え方を押さえると、騒音・振動概論の数値問題も読み解きやすくなります。
参考
- 騒音・振動概論/特論(一般社団法人 産業環境管理協会 公害防止管理者等国家試験 公式PDF・出題範囲。令和7年度 概論 問17・特論 問14、令和元年度 特論 問13)
- 小野測器 技術レポート「dB(デシベル)とは」「騒音計(サウンドレベルメータ)とは」(エネルギー加算=パワー加算、同一音n個の合成は 10 log10n)
- 騒音レベルの合成(レベル差と補正値、デシベル和の計算 L=10 log10{10^(L1/10)+10^(L2/10)})
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
合成を、dBの数値をそのまま足す・平均すると思い込ませる引っかけが狙われます。
同じ大きさの音を2つ足しても約3dB増えるだけで、2倍にも120dBにもなりません。足すのはレベルの数値ではなく、音の強さ(エネルギー)です。