植物プランクトンの増え方は、栄養塩が多いほど増えるんじゃないの?と思いませんか。実は、いちばん「足りない」栄養塩で決まります。最小律を整理します。
この記事の要点
海域や湖沼の水質を予測する生態系モデルでは、植物プランクトンの増殖を計算します。その増殖は、栄養塩の最も足りないもので決まります。
富栄養化や赤潮の予測には、植物プランクトンがどう増えるかを計算する生態系モデルが使われます。その増殖を決める考え方の1つが、リービッヒの最小律です。
リービッヒの最小律とは、植物プランクトンの増殖は、複数の栄養塩(窒素・りん・けい素など)のうち、最も不足している(制限の強い)栄養塩によって決まる、という考え方です。
たとえ、ほかの栄養塩がたっぷりあっても、1つでも足りないものがあれば、増殖はそのいちばん足りない栄養塩のところで頭打ちになります。生態系モデルでは、各栄養塩のうち最も制限の強いものを選んで増殖を計算します。
桶の水位は最も低い板で決まる。栄養塩も、最も足りないものが増殖の限界を決める(リービッヒの最小律)。
生態系モデルでは、栄養塩のほかに光の影響も計算します。ここで気をつけたいのが、栄養塩の式と光の式は別だということです。
栄養塩の摂取はリービッヒの最小律で扱い、水中での光の減衰はランバート・ベールの式で扱います。光については、光合成-光応答の式で、光が強すぎると光合成がかえって抑えられる強光阻害も考慮します。
ランバート・ベールの式は「光の減衰」のための式であって、栄養塩の摂取に使うものではありません。
最小律は、大規模水質特論の生態系モデルで、増殖を決める考え方として問われます。
令和7年度の大規模水質特論(問4)では、「栄養塩の摂取は、制限の強い栄養塩濃度を選んで計算するリービッヒの最小律が使われる」が正しい記述として並ぶ一方、「栄養塩の摂取についてはランバート・ベールの式が使われている」とするのが誤りでした。ランバート・ベールの式は光の減衰のための式です。
混同しやすい用語
リービッヒの最小律(栄養塩) と ランバート・ベールの式(光)
生態系モデルの中で、何に使う式かを取り違えやすいところです。
リービッヒの最小律は栄養塩の摂取(最も足りないもので決まる)、ランバート・ベールの式は光の減衰のための式です。
「最小律=栄養塩」「ランバート・ベール=光」と対応させて覚えます。
リービッヒの最小律によると、植物プランクトンの増殖は何で決まるか。
答え:複数の栄養塩のうち、最も不足している(制限の強い)栄養塩で決まる
ほかが十分でも、最も足りない栄養塩のところで増殖が頭打ちになります(桶の最も低い板のイメージ)。
ランバート・ベールの式は、生態系モデルでは何のための式か。
答え:水中での光の減衰のための式
栄養塩の摂取に使う式ではありません。栄養塩はリービッヒの最小律で扱います。
リービッヒの最小律は、生態系モデルで植物プランクトンの増殖を決める考え方です。
増殖は、窒素・りんなど複数の栄養塩のうち、最も不足している栄養塩で決まります。光の減衰を表すランバート・ベールの式とは別ものです。
「栄養塩=最小律」「光=ランバート・ベール」と、式の役割を取り違えないようにします。
参考
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
栄養塩の摂取に使う式が狙われます。リービッヒの最小律と、光のランバート・ベールの式を入れ替えるのが定番です。
栄養塩の摂取はリービッヒの最小律で扱います。「栄養塩の摂取にランバート・ベールの式を使う」とあれば誤りです(ランバート・ベールは光の減衰の式)。増殖は最も足りない栄養塩で決まる、と押さえます。