令和2年度 公害防止管理者 大気有害物質特論 問10を解説|鉛の分析方法
令和2年度 大気有害物質特論 問10は、JIS による排ガス中の鉛の分析方法と、その操作に用いる部品・試薬などとの組合せに関する問題です。組合せのうち誤っているものを選びます。
この問題のポイント
鉛の分析には、フレーム原子吸光法(アセチレン‐空気の炎、鉛中空陰極ランプ)、電気加熱原子吸光法、ICP発光分光分析法(トーチと誘導コイル)、ICP質量分析法(内標準にイットリウム溶液)などがあります。分かれ目は、電気加熱原子吸光法に組み合わせる試薬が適切かです。電気加熱原子吸光法では、測定を安定させるためのマトリックスモディファイヤーを加えます。硝酸インジウムはこの用途に用いる試薬ではなく、内標準を要する別の分析方法向けの物質なので、電気加熱原子吸光法との組合せは合いません。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(1)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | 電気加熱原子吸光法に硝酸インジウムを組み合わせた点が誤りです。この方法で用いるのはマトリックスモディファイヤーです。 |
| (2) | ○(正しい) | フレーム原子吸光法でアセチレン‐空気の炎を用いる、という正しい組合せです。 |
| (3) | ○(正しい) | フレーム原子吸光法で鉛中空陰極ランプを光源に用いる、という正しい組合せです。 |
| (4) | ○(正しい) | ICP発光分光分析法でトーチおよび誘導コイルを用いる、という正しい組合せです。 |
| (5) | ○(正しい) | ICP質量分析法で内標準としてイットリウム溶液を用いる、という正しい組合せです。 |
選択肢(1)のポイント(ここが誤り)
電気加熱原子吸光法は、試料を電気炉で加熱して原子化する方式で、共存成分の影響を抑えて安定に測定するためにマトリックスモディファイヤー(硝酸パラジウムなど)を加えます。選択肢(1)は、この試薬に「硝酸インジウム」を当てている点が誤りです。インジウムは、内標準を必要とするICP質量分析法などで用いる物質であり、電気加熱原子吸光法のマトリックスモディファイヤーとは役割が違います。ICP質量分析法にイットリウムを使う選択肢(5)が正しく組み合わさっていることからも、内標準向けの物質を電気加熱原子吸光法に持ち込んだ組合せだと見抜けます。
覚え方
- 電気加熱原子吸光法=マトリックスモディファイヤー(硝酸パラジウムなど)で安定化。
- フレーム原子吸光法=アセチレン‐空気の炎+鉛中空陰極ランプ。
- ICP質量分析法=内標準(イットリウムなど)。インジウム系も内標準向けで、電気加熱原子吸光法とは別。
理解度チェック
電気加熱原子吸光法で、共存成分の影響を抑えるために加えるものは?
マトリックスモディファイヤー(硝酸パラジウムなど)です。硝酸インジウムは適しません。
ICP質量分析法で内標準として用いる試薬の例は?
イットリウム溶液などです。測定値の変動を補正するために加えます。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和2年度 公害防止管理者等国家試験 大気有害物質特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月