令和3年度 公害防止管理者 大気関係技術特論 問5を解説|NOx抑制の燃焼技術
令和3年度 大気関係技術特論 問5は、燃焼技術によるNOx(窒素酸化物)の抑制対策に関する問題です。一般的な対策として挙げられた記述のうち、誤っているものを選びます。
この問題のポイント
燃焼で生じるNOxの多くは、高い温度で空気中の窒素が酸素と結び付いて生まれるサーマルNOxです。したがって抑制の基本は火炎温度を下げることと、高温部での酸素を減らすことの二つに集約されます。空気比を下げる、排ガスを再循環させる、水や水蒸気を吹き込む、熱負荷を下げる、といった対策はいずれも温度や酸素を下げる方向です。分かれ目は、燃焼用空気の予熱温度を上げるという操作が、火炎温度を上げてNOxを増やす方向だという点です。抑制策として並べると1つだけ逆を向いています。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(2)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 各選択肢の判定 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 空気比を低くすると高温部の酸素が減り、NOxの生成が抑えられます。 |
| (2) | ×(誤り) | 予熱温度を上げると火炎温度が上がり、サーマルNOxはむしろ増えます。抑制策としては逆向きです。 |
| (3) | ○(正しい) | 燃焼室熱負荷を下げると局所の温度が下がり、NOxの生成が抑えられます。 |
| (4) | ○(正しい) | 排ガスの一部を燃焼用空気に混ぜる排ガス再循環は、火炎温度と酸素濃度を下げてNOxを減らします。 |
| (5) | ○(正しい) | 火炎中に水蒸気や水を吹き込むと蒸発熱で温度が下がり、NOxが抑えられます。 |
選択肢(2)のポイント(ここが誤り)
選択肢(2)は「燃焼用空気の予熱温度を上げる」ことをNOx抑制策として挙げていますが、これは向きが逆です。空気をあらかじめ高温にして送り込むと、その分だけ火炎温度が高くなります。サーマルNOxは温度が高いほど急に増えるため、予熱温度を上げるとNOxはむしろ増加します。抑制したいなら、空気比を下げる・排ガスを再循環させる・水を吹き込むなど、火炎温度や高温部の酸素を下げる操作が正しい方向です。「温度を上げる操作」は抑制策の並びのなかで浮いている、と気づけば選び出せます。
覚え方
- サーマルNOx抑制=火炎温度を下げる・高温部の酸素を減らす。
- 予熱温度を上げる=火炎温度アップ=NOx増。抑制策ではない。
- 空気比低減・排ガス再循環・水噴射・熱負荷低減は、すべて温度か酸素を下げる方向。
理解度チェック
燃焼用空気の予熱温度を上げると、NOxはどうなる?
火炎温度が上がるため、サーマルNOxは増える方向です。抑制策とは逆になります。
排ガス再循環がNOxを減らすのはなぜ?
燃えない排ガスを混ぜることで火炎温度と酸素濃度を下げるためです。両方がサーマルNOxを抑えます。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和3年度 公害防止管理者等国家試験 大気関係技術特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月