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令和5年度 公害防止管理者 水質有害物質特論 問1を解説|共沈法の反応機構

令和5年度 水質有害物質特論 問1は、共存する重金属のもとで起こる共沈現象の反応機構に関する問題です。反応機構の説明として最も不適切なものを選びます。

この問題のポイント

共沈とは、単独では溶けたまま残る微量成分が、いっしょに生じる沈殿(担体)に取り込まれて一緒に沈む現象です。取り込まれ方の代表が、担体の内部に包み込まれる吸蔵、水酸化物表面の電荷に引かれる吸着、金属どうしが橋かけした複合多核錯体の生成、そして難溶性塩の生成です。ここで問われる分かれ目は、キレート錯体の生成を共沈機構に数えてよいかどうかです。キレートは金属を水に溶けた形でつかむはたらきで、むしろ沈殿を妨げる側なので、共沈の反応機構には当てはまりません。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(3)(最も不適切な記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)○(正しい)微量成分が担体の内部に包み込まれる吸蔵は、共沈の代表的な機構です。正しい記述です。
(2)○(正しい)水酸化物表面の電荷に引かれて起こる吸着も共沈の機構です。正しい記述です。
(3)×(誤り)キレート錯体の生成は金属を溶けた形で保つはたらきで、沈殿を妨げる側です。共沈の反応機構には当てはまりません。
(4)○(正しい)異種の金属が橋かけして生じる複合多核錯体の生成は共沈機構の一つです。正しい記述です。
(5)○(正しい)溶解度の小さい塩ができて沈む難溶性塩の生成も共沈の機構です。正しい記述です。

選択肢(3)のポイント(ここが誤り)

キレート剤は、一つの分子が金属イオンを何本かの手ではさみ込み、水に溶けた安定な錯体としてつかまえます。つまりキレート錯体ができると、金属は沈殿に取り込まれずに液中へとどまります。共沈は逆に、微量成分を沈殿の中へ道連れにする現象なので、キレート錯体の生成は共沈を助けるどころか妨げるはたらきです。吸蔵・吸着・複合多核錯体・難溶性塩の四つが共沈の機構で、キレート錯体の生成だけが仲間外れという点が誤りです。

覚え方

  • 共沈の機構は吸蔵・吸着・複合多核錯体・難溶性塩の4つ。
  • キレートは金属を溶かして保つ側=沈殿を妨げる。共沈の仲間ではない。

理解度チェック

Q.

共沈現象の反応機構に数えられるのはどれ?

吸蔵・吸着・複合多核錯体の生成・難溶性塩の生成です。微量成分が担体の沈殿に取り込まれて一緒に沈みます。

Q.

キレート錯体の生成が共沈機構に入らないのはなぜ?

キレートは金属を水に溶けた形で安定に保つため、沈殿への取り込みを妨げるからです。共沈とは逆向きのはたらきです。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「令和5年度 公害防止管理者等国家試験 水質有害物質特論 問題・正解」(公式PDF