令和5年度 公害防止管理者 水質関係技術特論 問1を解説|汚水処理計画
令和5年度 水質関係技術特論 問1は、工場の汚水処理計画の考え方に関する問題です。排水量の削減や生産工程との連携などの記述のうち、最も不適切なものを選びます。
この問題のポイント
汚水処理計画は「出てから処理する」より前に、まず発生源で汚濁を減らす発想が基本です。排水の分別・節水・工程改良で水量そのものを絞り、装置を小型化する流れをつかめば大半の肢は判断できます。分かれ目は、排水量と汚濁物質濃度の関係です。精製の度合いを変えなければ、水に移す汚濁物質の総量は変わりません。そこで水量だけを減らせば、同じ量がより少ない水に凝縮されるので濃度はむしろ上がります。ここを「濃度も下がる」と読み替えた肢が引っかけです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(最も不適当な記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 排水の分別・用水の節約・生産工程の変更は、排水量を絞り処理装置を小型化する正攻法の手段です。 |
| (2) | ○(正しい) | 工程改良で排水を減らすには、プロセス側と水処理側が早い段階から連携する必要があります。 |
| (3) | ×(誤り) | 精製度合いを変えず水量だけ減らすと、汚濁物質の量は同じで水が減るため濃度は上がります。「濃度も減少する」は逆です。 |
| (4) | ○(正しい) | 歩留まりが上がれば無駄に排出される原料が減り、汚濁負荷の低下につながります。 |
| (5) | ○(正しい) | 副産物回収は理想的に見えますが、回収工程の排水や採算性という新たな課題が生じます。 |
選択肢(3)のポイント(ここが誤り)
濃度は「汚濁物質の量 ÷ 水量」で決まります。精製の度合いを変えないということは、水に移す汚濁物質の総量が変わらないということです。この状態で分母である水量だけを小さくすれば、同じ量の汚濁物質がより少ない水に濃縮され、濃度はむしろ上昇します。排水量を減らせば負荷(量)は下げられても、濃度まで一緒に下がるわけではありません。量と濃度を混同させるのが、この肢の狙いです。
覚え方
- 汚濁物質濃度=汚濁物質量 ÷ 排水量。量が同じなら水を減らすほど濃くなる。
- 汚水処理計画は発生源対策が先。排水量削減の三手段=分別・節水・工程変更。
- 負荷(量)を減らす工夫と、濃度が下がるかは別問題。混同しない。
理解度チェック
Q.
精製度合いを変えずに排水量だけ減らすと、排水中の汚濁物質濃度はどうなる?
上がります。汚濁物質の量は変わらないのに水量が減るため、濃度(量÷水量)は高くなります。
Q.
排水量そのものを減らす代表的な手段を挙げると?
排水の分別、用水の節約、生産工程の変更などです。処理する前に発生量を絞るのが基本です。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和5年度 公害防止管理者等国家試験 水質関係技術特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月