令和元年度 公害防止管理者 汚水処理特論 問16を解説|メタン発酵
令和元年度 汚水処理特論 問16は、嫌気処理法のメタン発酵に関する正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
メタン発酵は、有機物を嫌気細菌の働きでメタンと二酸化炭素に分解する処理です。曝気がいらず動力が小さい、メタンをエネルギー利用できる、汚泥の発生が少ない、といった長所があります。引っかけの核心は、その汚泥が少ない理由です。嫌気細菌は増殖速度が小さいため、有機物を処理しても新たに作られる汚泥が少なくてすみます。ここを「増殖速度が大きい」と逆に書けば、結論が同じでも理由が誤りになります。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 産業排水・し尿・下水汚泥などの有機物を、嫌気細菌の作用でメタンや二酸化炭素に分解します。正しい記述です。 |
| (2) | ○(正しい) | 進歩形として上向流式嫌気汚泥床法(UASB法)やグラニュール汚泥膨張床式(EGSB)があります。正しい記述です。 |
| (3) | ×(誤り) | 「増殖速度が大きい」とした点が誤りです。嫌気細菌は増殖速度が小さいため、汚泥の発生量が少なくてすみます。 |
| (4) | ○(正しい) | 好気処理と違い酸素供給の曝気が不要なので、動力が少なくてすみます。正しい記述です。 |
| (5) | ○(正しい) | 有機物をメタンガスに変換し、エネルギーとして回収・利用できるのが特長です。正しい記述です。 |
選択肢(3)のポイント(ここが誤り)
メタン発酵で汚泥の発生が少ないのは、担い手である嫌気細菌の増殖速度が小さい(ゆっくりしか増えない)ためです。取り込んだ有機物のエネルギーの多くがメタンとして取り出され、菌体(=汚泥)の合成に回る分が少ないので、余剰汚泥が少なくてすみます。選択肢(3)は結論の「汚泥発生量が少ない」は合っていますが、その理由を「増殖速度が大きい」と逆向きに述べている点が誤りです。増殖が速ければむしろ菌体が増えて汚泥は多くなるはずで、理由と結論が食い違います。
覚え方
- メタン発酵=嫌気細菌は増殖速度が小さい→余剰汚泥が少ない。曝気不要で動力も小。
- エネルギー回収=有機物をメタンガスにして利用。UASB・EGSBは高効率型。
- 「増殖が速いから汚泥が少ない」は矛盾。遅いから少ないと押さえる。
理解度チェック
Q.
メタン発酵で余剰汚泥が少ないのは、嫌気細菌の増殖速度がどうだから?
増殖速度が小さい(遅い)からです。菌体合成に回る有機物が少なく、発生する汚泥が少なくてすみます。
Q.
メタン発酵が好気処理より動力を抑えられる理由は?
酸素を送り込むための曝気が不要だからです。さらに生成したメタンをエネルギーとして回収できる利点もあります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和元年度 公害防止管理者等国家試験 汚水処理特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月