令和6年度 大規模大気特論 問2は、平坦地の煙突から出る汚染物質の拡散と最大着地濃度に関する正誤問題です。誤っているものを選びます。排出量や排出条件は同じで変化しない、という前提が置かれています。
煙突から出た煙は、風に流されながら上下左右に広がって地表に届きます。地表でいちばん濃くなる場所の濃度を最大着地濃度といいます。整理のカギは、煙の鉛直方向の広がり方が着地濃度にどう効くかです。鉛直方向に広がりやすい(拡散幅σzが大きくなりやすい)状況、すなわち不安定で乱流が強いときは、煙が早く下へ降りてくるため、煙突近くで地表に達して最大着地濃度はむしろ高くなります。逆に煙突を高くしたり安定で広がりにくいと、地表まで届くまでに薄まり最大着地濃度は下がります。引っかけは、鉛直拡散幅と最大着地濃度の関係を逆向きに述べた選択肢です。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(1)(誤っている記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | 鉛直拡散幅が大きくなると煙は早く地表へ降り、煙突近くで地面に達するため最大着地濃度はむしろ高くなります。「低くなる」とした向きが誤りです。 |
| (2) | ○(正しい) | 最大着地濃度が現れる距離は大気安定度で変わります。安定なら遠く、不安定なら近くなるという正しい記述です。 |
| (3) | ○(正しい) | 煙突を高くすると有効煙突高さが増し、地表に届くまでに薄まって最大着地濃度は低くなります。煙突高さの効果として正しい記述です。 |
| (4) | ○(正しい) | 煙の拡散幅は気象条件、とくに乱流の強さと直接結びつきます。乱れが強いほど広がるという正しい記述です。 |
| (5) | ○(正しい) | 乱流の強さは風速・大気安定度に加え、地面の凹凸(粗度)でも変わります。地表条件も効くという正しい記述です。 |
「拡散幅が大きい=薄まる=濃度が下がる」と単純に結びつけると間違えます。鉛直方向の拡散幅が大きいということは、煙が上下に強くかき混ぜられ、地表まで早く到達することを意味します。その結果、煙突に近い地点で煙が地面にぶつかり、最大着地濃度はかえって高くなります。実際、最大着地濃度は不安定で乱流が強い(σzが大きく成長する)ときほど高く、出現距離も近くなります。選択肢(1)はこの向きを逆に「低くなる」と書いたのが誤りです。広がる=必ず薄まる、ではない点に注意します。
煙の鉛直拡散幅が大きくなると、最大着地濃度はどうなる?
高くなります。鉛直に強く広がると煙が早く地表へ降り、煙突近くで地面に達するためです。「広がる=薄まって低くなる」と単純化すると間違えます。
煙突を高くすると最大着地濃度はどうなる?
低くなります。有効煙突高さが増し、地表に届くまでに距離をかせいで薄まるためです。
この問題に関連する用語解説
出典
※ この記事の確認日:2026年6月