令和4年度 公害防止管理者 大規模大気特論 問1を解説|低層大気の熱的性質
令和4年度 大規模大気特論 問1は、低層大気の熱的な性質に関する問題です。温位・乾燥断熱減率・大気の安定度についての記述のうち、誤っているものを選びます。
この問題のポイント
温位は、気塊を基準の1000 hPaまで断熱的に移したときにその気塊が示す「温度そのもの」で決まる量です(温度の変化幅ではありません)。乾燥空気は100 m上昇するごとに約0.98℃下がり、この温度勾配の絶対値を乾燥断熱減率と呼びます。実際の気温減率が乾燥断熱減率より小さければ熱的に安定、大きければ不安定です。温位で見るときは、高度とともに温位が上がる層は安定、下がる層は不安定になります。分かれ目は、温位の定義を「温度そのもの」と読むか「温度変化幅」と読むか、という一点です。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(1)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 理由 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | 温位は基準1000 hPaに移したときの温度そのもので定義される量。「温度変化幅で定義される」とする点が誤り。 |
| (2) | ○(正しい) | 乾燥空気は100 m上昇で約0.98℃低下する(乾燥断熱減率)。正しい。 |
| (3) | ○(正しい) | 100 mあたり0.98℃下がる温度勾配の絶対値を乾燥断熱減率という。定義どおりで正しい。 |
| (4) | ○(正しい) | 100 mあたり0.6℃の低下は乾燥断熱減率0.98℃より小さいので、熱的に安定。正しい。 |
| (5) | ○(正しい) | 温位が高度とともに下がる層は熱的に不安定。正しい。 |
選択肢(1)のポイント(ここが誤り)
温位は、気塊を断熱的に基準気圧の1000 hPaまで移動させたときに、その気塊が示す温度そのものの値です。選択肢(1)は温度変化幅で定義されると述べていますが、温位は移動によって生じる温度の差(変化幅)ではなく、1000 hPaでの到達温度の値で決まります。この一語をすり替えているのが誤りです。
覚え方
- 温位=1000 hPaに戻したときの温度そのもの(温度変化幅ではない)。
- 実際の気温減率が乾燥断熱減率0.98℃/100mより小さければ安定、大きければ不安定。
- 温位が高度とともに下がる=不安定、上がる=安定。
理解度チェック
Q.
温位はどのように定義される量?
気塊を断熱的に1000 hPaまで移したときに示す温度そのものです。温度の変化幅ではありません。
Q.
100 mあたり0.6℃下がる大気層は熱的に安定か不安定か?
安定です。乾燥断熱減率0.98℃/100mより減率が小さいので、上昇した気塊は周囲より冷たく重くなり、元へ戻ろうとします。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和4年度 公害防止管理者等国家試験 大規模大気特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月