令和3年度 公害防止管理者 大規模大気特論 問3を解説|中立の大気境界層
令和3年度 大規模大気特論 問3は、安定度が中立の大気境界層に関する問題です。五つの記述のうち、誤っているものを選びます。
この問題のポイント
中立境界層は、地表面での熱の出入り(加熱や放射冷却)が小さく、浮力の効果がほとんど働かない状態の境界層です。このとき乱流は主に風速勾配(風のずれ)から機械的に作られ、気温減率はおおむね乾燥断熱減率に近くなります。分かれ目は、中立が生じる条件を風速の強弱だけで決めつけていないかどうかです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(1)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | 中立の成立を風速だけで決めつけています。曇天なら弱風でも地表の熱の出入りが抑えられて中立に近づきます。 |
| (2) | ○(正しい) | 風が強くなると機械的な混合が強まり、多くの場合に中立境界層が出現します。正しい記述です。 |
| (3) | ○(正しい) | 中立境界層では、浮力が働かないため乱流は風速勾配(ずれ)から作られます。正しい記述です。 |
| (4) | ○(正しい) | 中立境界層の厚さは、一般に数百mの程度にとどまります。値の目安として正しい記述です。 |
| (5) | ○(正しい) | 中立では気温減率が乾燥断熱減率に近くなります。中立の定義に沿う正しい記述です。 |
選択肢(1)のポイント(ここが誤り)
中立になるかどうかを決めるのは、風速そのものより地表面での熱の出入りの大きさです。晴れて日射が強い日中は加熱で不安定、晴れて放射冷却が進む夜間は安定になりますが、曇天では加熱も冷却も抑えられるため、風が弱くても中立に近い状態が現れます。選択肢(1)は「風速がきわめて弱いときは中立境界層は出現しない」と、中立の条件を風速の強弱だけで断定しているため誤りです。
覚え方
- 中立が現れる=強風時または曇天時(熱の出入りが小さい)
- 中立の乱流は風速勾配(ずれ)から機械的に発生
- 中立の気温減率=おおむね乾燥断熱減率
理解度チェック
Q.
中立境界層では、乱流は主に何によって作られるか?
風速勾配(風のずれ)です。浮力がほとんど働かないため、乱流は機械的に発生します。
Q.
中立境界層は風が強いときに限って現れるのか?
いいえ。決め手は地表の熱の出入りの小ささで、曇天なら弱風でも中立に近い状態が現れます。風速だけでは決まりません。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和3年度 公害防止管理者等国家試験 大規模大気特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月