令和6年度 公害防止管理者 大規模水質特論 問2を解説|海洋生態系モデルの計算
令和6年度 大規模水質特論 問2は、海洋生態系モデルを組み立てるときの計算過程やパラメータの求め方に関する問題です。最も不適切なものを選びます。
この問題のポイント
海洋生態系モデルでは、栄養塩・植物プランクトン・動物プランクトン・デトリタス(生物の遺骸などの非生物有機物)などをつなぎ、それぞれの量や負荷を観測データから決めていきます。引っかけの核心は選択肢(3)で、植物プランクトンの炭素現存量を「デトリタス濃度とクロロフィル濃度の相関から求めた」とする点です。生きた植物プランクトンの量を表すのはクロロフィル濃度であり、死んだ有機物であるデトリタスとの相関から求めるのは筋違いです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(最も不適当な記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 海底堆積物からの栄養塩溶出は、観測値を基にスプライン法で各格子点の値を補間して与えます。妥当な手順です。 |
| (2) | ○(正しい) | 外洋から流入する栄養塩負荷は、観測から見積もって境界条件に用います。妥当な手順です。 |
| (3) | ×(誤り) | 植物プランクトンの炭素現存量はクロロフィル濃度から換算します。死んだ有機物のデトリタスとの相関から求める点が誤りです。 |
| (4) | ○(正しい) | 動物プランクトンは長さや幅から体積を求め、炭素生物量に換算します。妥当な手順です。 |
| (5) | ○(正しい) | 植物プランクトンの炭素・窒素・りんの比には、標準的なレッドフィールド比を用います。妥当な手順です。 |
選択肢(3)のポイント(ここが誤り)
植物プランクトンは光合成色素であるクロロフィルをもつため、水中のクロロフィル濃度は「生きている植物プランクトンがどれだけいるか」を示す目安になります。モデルでは、このクロロフィル濃度に炭素とクロロフィルの比をかけて炭素現存量へ換算します。一方のデトリタスは、生物の死骸やふん、分解途中の有機物といったすでに死んだ有機物で、生きた植物プランクトンの量とは別物です。選択肢(3)は、植物プランクトンの現存量をデトリタス濃度との相関から求めるとしており、量の求め方の対象を取り違えている点が誤りです。
覚え方
- 植物プランクトンの現存量=クロロフィル濃度から換算(生きた量の指標)。
- デトリタス=死んだ有機物(遺骸・ふん)。生きた現存量とは別物。
- 炭素・窒素・りんの比はレッドフィールド比を使う。
理解度チェック
生態系モデルで植物プランクトンの炭素現存量は何から求める?
クロロフィル濃度から、炭素とクロロフィルの比を使って換算します。クロロフィルは生きた植物プランクトンの量を示す指標です。
デトリタスとは何を指す?
生物の遺骸やふん、分解途中の有機物など、すでに死んだ有機物のことです。生きた植物プランクトンの現存量とは区別されます。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和6年度 公害防止管理者等国家試験 大規模水質特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月