令和5年度 公害防止管理者 大規模水質特論 問3を解説|光の制限項LTLIM
令和5年度 大規模水質特論 問3は、海洋生態系モデルで植物プランクトンの増殖速度を計算する際の、光の制限項LTLIMに関する問題です。不適切なものを選びます。
この問題のポイント
植物プランクトンの比増殖速度は、水温で決まるポテンシャル比増殖速度に、光の制限項LTLIMと栄養塩制限項を掛けて求めます。水中の光は深くなるほど弱まり、その減衰はランバート-ベールの法則に従います。引っかけの核心は、光の弱まり方を決める消散係数の中身です。消散係数は、水そのものが持つ固有の消散に加え、植物プランクトンや懸濁物質による吸収・散乱を見込んで求めます。植物プランクトンが増えるほど光をさえぎる自己遮光の効果を含む点が要点で、溶存有機物濃度だけから決まるわけではありません。選択肢(4)はこの求め方を取り違えています。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(最も不適当な記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 比増殖速度は、ポテンシャル比増殖速度・LTLIM・栄養塩制限項の3つの積で求まります。正しい記述です。 |
| (2) | ○(正しい) | 光の増加とともにLTLIMが最大値1に近づく飽和型の式は、強光阻害を織り込んでいません。正しい記述です。 |
| (3) | ○(正しい) | 深さ方向の光強度は、ランバート-ベールの法則に従って指数関数的に減衰します。正しい記述です。 |
| (4) | ×(誤り) | 消散係数は水固有の消散に植物プランクトンなどによる分を加えて求めるもので、「溶存有機物濃度から」とする点が誤りです。 |
| (5) | ○(正しい) | 水面の日射の日変化は、最強日射量と日長を用いた経験式で近似できます。正しい記述です。 |
選択肢(4)のポイント(ここが誤り)
ランバート-ベールの法則で光が弱まる速さを決めるのが消散係数です。海水中では、水そのものが持つ固有の消散に加え、光を吸収・散乱する植物プランクトンや懸濁物質の量に応じて消散係数が大きくなります。とくに植物プランクトンが増えると自らが光をさえぎり、下層の光をさらに弱める自己遮光が働くため、モデルでは植物プランクトン濃度を反映して消散係数を計算します。選択肢(4)は、この分を溶存有機物濃度から求めると取り違えている点が誤りです。
覚え方
- 比増殖速度=水温(ポテンシャル)×光(LTLIM)×栄養塩の積。
- 消散係数は水固有+植物プランクトンなど。増えるほど光をさえぎる自己遮光。
理解度チェック
植物プランクトンの比増殖速度は何の積で求める?
水温で決まるポテンシャル比増殖速度・光の制限項LTLIM・栄養塩制限項の3つの積です。
水中の光の消散係数は、水固有分に何を加えて求める?
植物プランクトンや懸濁物質による吸収・散乱の分です。植物プランクトンが増えると自己遮光で光をさえぎります。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和5年度 公害防止管理者等国家試験 大規模水質特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月