令和2年度 公害防止管理者 大規模水質特論 問4を解説|生態系モデルの植物プランクトン
令和2年度 大規模水質特論 問4は、水質を予測する生態系モデルでの植物プランクトンの増殖の表し方に関する正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
生態系モデルでは、植物プランクトンの増殖速度を「もっとも速く増えられる速度(最大可能増殖速度)」に、光の足りなさや栄養塩の足りなさによるブレーキを掛け合わせて表します。引っかけの核心は、この光の制限項と栄養塩の制限項を「足す」のか「掛ける」のかです。制限項はそれぞれ0から1までの係数で、どれか一つでも小さければ増殖は抑えられます。そのため増殖速度は各制限項の積で計算します。選択肢(4)はこれを「和として計算する」と述べており、掛け算を足し算に取り違えている点が誤りです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 最大可能増殖速度は水温の関数として表されます。正しい記述です。 |
| (2) | ○(正しい) | 窒素やりんの摂取は、ミハエリス・メンテンの式で記述されることが多いです。正しい記述です。 |
| (3) | ○(正しい) | 光合成-光応答の式では、強光阻害を表すため最適光量というパラメータが使われます。正しい記述です。 |
| (4) | ×(誤り) | 増殖速度は各制限項の積で計算します。「和として計算する」とした点が誤りです。 |
| (5) | ○(正しい) | 水中の光強度は、深さとともに減衰するランバート・ベールの法則に従います。正しい記述です。 |
選択肢(4)のポイント(ここが誤り)
植物プランクトンの増殖速度は、まず水温で決まる最大可能増殖速度があり、そこに光の制限項と栄養塩の制限項という0から1のブレーキ係数を掛け合わせて求めます。積で表すことには意味があり、光と栄養塩のどちらか一方でも極端に不足すれば、その制限項がほぼ0になって増殖速度全体もほぼ0になるという、最も不足した条件で決まる性質を再現できます。もし選択肢(4)のように「和」で計算してしまうと、一方が不足しても他方が補って増殖できることになり、実際と合いません。増減の向きではなく、積を和と取り違えている点が誤りです。
覚え方
- 増殖速度=最大可能増殖速度×光の制限項×栄養塩の制限項(和ではなく積)。
- 制限項は0〜1。どれか1つでも小さいと増殖はほぼ止まる。
- 栄養塩の摂取=ミハエリス・メンテンの式、光の減衰=ランバート・ベールの法則。
理解度チェック
光の制限項と栄養塩の制限項は、足す?掛ける?
掛けます(積)。どちらか一方が不足すれば全体の増殖速度が抑えられる性質を表すためです。
最大可能増殖速度は何の関数で表される?
水温の関数です。これに光と栄養塩の制限項を掛けて実際の増殖速度を求めます。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和2年度 公害防止管理者等国家試験 大規模水質特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月