令和2年度 公害防止管理者 ばいじん・一般粉じん特論 問3を解説|重力集じん装置
令和2年度 ばいじん・一般粉じん特論 問3は、重力集じん装置に関する正誤問題です。100 %分離限界粒子径に効く条件や、基本流速・圧力損失の目安のうち、誤っているものを選びます。
この問題のポイント
重力集じん装置は、含じんガスを広い沈降室でゆっくり流し、粒子を重力で底へ落として捕らえる装置です。100 %分離限界粒子径は「これより大きい粒子はすべて捕らえられる」という境目の径で、粒子がしっかり沈める条件がそろうほど小さくできます。引っかけの核心は気流速度と分離限界径の関係で、流れが速いと滞留時間が短くなって落としにくくなり、限界径は小さくなるのか大きくなるのか、向きを取り違えないことが分かれ目です。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(2)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 密度が大きいほど沈降速度が速くなり、小さな粒子でも底まで届くので分離限界粒子径は小さくなります。正しい記述です。 |
| (2) | ×(誤り) | 向きが逆です。気流速度が大きいほど滞留時間が短くなり、大きな粒子しか落とせなくなるため分離限界粒子径は大きくなります。「小さくなる」は誤りです。 |
| (3) | ○(正しい) | 沈降室の奥行が長いほどガスが室内にとどまる時間が延び、小さな粒子でも底まで沈めるので分離限界粒子径は小さくなります。正しい記述です。 |
| (4) | ○(正しい) | 基本流速は粒子が舞い上がらない程度に抑える必要があり、一般に1~2 m/s程度にとられます。目安として正しい記述です。 |
| (5) | ○(正しい) | 単に広い室をゆっくり通すだけの構造なので抵抗は小さく、圧力損失は50~100 Pa程度と各集じん装置の中で最も低い部類です。正しい記述です。 |
選択肢(2)のポイント(ここが誤り)
重力集じん装置で粒子が底に届くかどうかは、「沈む速さ」と「室内にとどまる時間」の勝負です。気流速度が大きくなると、ガスは沈降室をより短い時間で通り抜けてしまい、粒子が沈むための時間が足りなくなります。その結果、沈降の速い(=大きく重い)粒子しか底に届かなくなり、捕らえられる境目の径は大きくなる方向に動きます。選択肢(2)は「気流速度が大きいほど分離限界粒子径が小さくなる」としており、関係を逆に書いた誤りです。密度が大きい・奥行が長いといった「よく沈む・長くとどまる」条件では限界径が小さくなる、という他の選択肢とセットで押さえると混乱しません。
覚え方
- よく沈む・長くとどまる条件(密度大・奥行長)→ 分離限界径は小さくできる。
- 気流速度が大きい → 滞留時間が短い → 分離限界径は大きくなる(捕りにくい)。
- 重力式は構造が単純で圧力損失が最小級(50~100 Pa)。粗大粒子の前処理向き。
理解度チェック
沈降室の奥行を長くすると、100 %分離限界粒子径はどうなる?
小さくなります。奥行が長いほどガスが室内にとどまる時間が延び、より小さな粒子でも底まで沈められるためです。
気流速度を大きくすると分離限界粒子径が大きくなるのはなぜ?
滞留時間が短くなるからです。粒子が沈む時間が足りず、大きく重い粒子しか底に届かなくなるため、捕らえられる境目の径が大きくなります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和2年度 公害防止管理者等国家試験 ばいじん・一般粉じん特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月