ガスクロマトグラフ検出器の違い(FID・ECD・FPD・TCD)

エコまる

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GCの検出器ってFID・ECD・FPD・TCDと種類があるけど、どれが何に強いの?

ガスクロマトグラフ(GC)の検出器は、カラムで分離されてきた成分を電気信号としてとらえる部分です。

検出器ごとに「何に強いか(何を高感度に検出できるか)」が違い、測りたい物質に合わせて使い分けます。

水質有害物質特論では、各検出器が何を高感度に検出するかが正誤問題で問われます。

検出器は「汎用型」と「選択型」に分かれる

4つの検出器は、何でも幅広く拾う汎用型と、特定の物質だけを高感度に拾う選択型に分かれます。

汎用型はFID(有機化合物全般)とTCD(無機ガスも含む気体全般)です。

選択型はECD(有機ハロゲン化合物)とFPD(硫黄・りん化合物)です。

検出器と得意な対象 汎用型(広く拾う) FID → 有機化合物全般 炭素をもつ物質に高感度 TCD → 気体全般 無機ガスも拾える 選択型(特定に高感度) ECD → 有機ハロゲン 有機塩素系農薬・PCB FPD → 硫黄・りん 含硫黄・含りん化合物

FIDは有機化合物に高感度で、無機ガスにはほとんど感度がない。無機ガスまで拾える汎用型はTCD。

4つの検出器のしくみと得意な対象

代表的な4つの検出器を、しくみと高感度に検出できる対象で並べます。

検出器得意な対象(高感度なもの)しくみ・特徴
FID(水素炎イオン化検出器)有機化合物全般(炭素をもつもの)試料を水素炎で燃やし、生じたイオンによる電流を測る。無機ガスにはほとんど感度がない。最も広く使われる汎用検出器。
TCD(熱伝導度検出器)キャリヤーガス以外のあらゆる気体(無機ガスも)成分が通るときのフィラメントの熱伝導度の変化を測る。汎用だが感度はあまり高くない。試料を壊さない。
ECD(電子捕獲検出器)有機ハロゲン化合物(有機塩素系農薬・PCBなど)放射線源からのβ線(電子線)で生じた電子を、電子を捕まえやすい物質が奪うことを利用する。ハロゲン化合物にきわめて高感度。
FPD(炎光光度検出器)硫黄化合物・りん化合物炎の中でこれらの元素が出す特有の光を測る。硫黄・りんを選択的に高感度で検出する。

水質有害物質特論での問われ方

各検出器が「何を高感度に検出するか」を入れ替える正誤問題が定番です。

令和2年度 水質有害物質特論 問11では、検出器の記述の正誤が問われました。TCDは気体全般に使えるが感度は高くない、ECDは有機ハロゲン化合物に高感度、FPDは硫黄・りん化合物を選択的に検出する、はいずれも正しい記述でした。誤りは、FIDを「無機ガスに対してTCDの1000〜10000倍の高感度を示す」とした記述です。FIDが高感度なのは有機化合物で、無機ガスにはほとんど感度がありません。

令和元年度 水質有害物質特論 問11では、検出器のしくみと前処理法の組合せが問われました。「放射線源からのβ線(電子線)がキャリヤーガスを電離し、自由電子を捕獲する物質を検出する」という説明はECDのものです。

令和4年度 水質有害物質特論 問12では、イオンクロマトグラフ法で用いる検出器として不適当なものを選ぶ問題で、電子捕獲検出器(ECD)が答えでした。ECDはガスクロマトグラフ用の検出器です。

令和5年度 水質有害物質特論 問12では、「FIDでは有機物が水素炎に導入されたときに多量のイオンが生成して電流が流れ、検出される」というFIDのしくみの記述が、正しい選択肢として出ています。

まちがえやすいポイント

FIDとTCDのどちらが無機ガスを拾えるかが狙われます。

FIDは有機化合物に高感度で、無機ガスにはほとんど感度がありません。無機ガスまで拾える汎用検出器はTCDです。

理解度チェック

Q.

有機ハロゲン化合物(有機塩素系農薬・PCBなど)を高感度に検出する検出器はどれか。

ECD(電子捕獲検出器)です。放射線源からのβ線で生じた電子を、電子を捕まえやすいハロゲン化合物が奪うことを利用して検出します。

Q.

硫黄化合物・りん化合物を選択的に高感度で検出する検出器はどれか。

FPD(炎光光度検出器)です。炎の中で硫黄・りんが出す特有の光を測ります。

Q.

FIDとTCDのうち、無機ガスも検出できる汎用検出器はどちらか。

TCD(熱伝導度検出器)です。FIDは有機化合物に高感度で、無機ガスにはほとんど感度がありません。

まとめ

GC検出器は、FID=有機化合物全般、TCD=無機ガスも含む気体全般、ECD=有機ハロゲン化合物、FPD=硫黄・りん化合物に高感度です。

「FIDは有機化合物・TCDは無機ガスも」という汎用型2つの違いと、「ECD=ハロゲン・FPD=硫黄りん」という選択型の対応を押さえれば、水質有害物質特論の検出器の問題はほぼ取りきれます。

参考

  • 一般社団法人 産業環境管理協会 公害防止管理者等国家試験(水質有害物質特論 令和2年問11・令和元年問11・令和4年問12・令和5年問12)・公式正答
  • 島津製作所 ガスクロマトグラフ 分析基礎知識「検出器」(FID・TCD・ECD・FPDの検出対象)

この記事を書いた人

公害防止管理者 独学ノート 編集部

公害防止管理者試験の用語・法令・計算を、環境省の告示や過去問に照らして、独学者の目線で整理しています。