令和7年度 公害防止管理者 大気関係技術特論 問20を解説|大規模設備の防止対策
令和7年度 大気関係技術特論 問20は、大規模設備における大気汚染防止対策に関する問題です。ごみ焼却炉・製油所・セメント工場・石炭火力・鉄鋼プロセスの記述のうち、誤っているものを選びます。
この問題のポイント
業種ごとに、発生する汚染物質とその防止対策が正しく対応しているかを問う問題です。分かれ目はセメント工場の脱硫対策です。セメント製造では原料に多量の石灰石を使い、この石灰石がアルカリ性で排ガス中の二酸化硫黄を吸収する自己脱硫のはたらきをもつため、独立した脱硫装置の設置は必ずしも必要になりません。それを「脱硫装置の設置が不可欠」と断定させるのが引っかけどころです。ごみ焼却炉の塩化水素発生や製油所の副生ガス利用など、ほかの記述は各業種の実際の対策と向きが合っています。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 各選択肢の判定 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | ごみ焼却炉では、食塩などの無機塩素化合物の焼却でも塩化水素が発生します。 |
| (2) | ○(正しい) | 製油所の水素化精製で副生するガスは、硫黄分を除いてから燃料に利用されます。 |
| (3) | ×(誤り) | セメント製造は原料の石灰石が二酸化硫黄を吸収するため、脱硫装置は不可欠ではありません。 |
| (4) | ○(正しい) | 石炭火力では、活性炭の吸着を利用した脱硫脱硝法も実用化されています。 |
| (5) | ○(正しい) | 鉄鋼プロセスはばいじん・粉じんが発生するため、飛散防止対策が必要です。 |
選択肢(3)のポイント(ここが誤り)
セメントの製造では、原料に石灰石を多量に使います。石灰石はアルカリ性で、キルン内で排ガス中の二酸化硫黄を取り込む自己脱硫のはたらきをもつため、独立した脱硫装置を付けなくても硫黄酸化物が抑えられる場合が多くあります。したがって「脱硫装置の設置が不可欠」という断定は言い過ぎで、ここが誤りです。原料そのものが吸収剤の役割を果たすという仕組みを押さえると、他業種の脱硫の話とは前提が違うことがはっきりします。
覚え方
- セメントは原料の石灰石が二酸化硫黄を吸収=自己脱硫。脱硫装置は不可欠ではない。
- ごみ焼却炉は無機塩素(食塩など)の焼却でも塩化水素が出る。
- 「不可欠」「すべて」など断定の強い語は誤り選択肢のサインになりやすい。
理解度チェック
セメント製造工程で脱硫装置が不可欠とまで言えないのはなぜ?
原料の石灰石がアルカリ性で二酸化硫黄を吸収し、自己脱硫のはたらきをもつためです。
ごみ焼却炉で塩化水素が発生するのは、どんな物質を焼いたとき?
食塩などの無機塩素化合物でも発生します。プラスチックなど有機塩素化合物に限りません。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和7年度 公害防止管理者等国家試験 大気関係技術特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月