令和4年度 公害防止管理者 水質有害物質特論 問10を解説|有機塩素化合物の生物分解
令和4年度 水質有害物質特論 問10は、有機塩素系化合物を含む排水や地下水の生物分解法に関する問題です。好気分解・嫌気分解の仕組みや浄化法を並べた選択肢から、誤っているものを選びます。
この問題のポイント
有機塩素系化合物の生物分解は、酸素を使う好気分解と使わない嫌気分解で仕組みが違います。好気分解ではメタン資化細菌などがトリクロロエチレンを分解し、最終的には二酸化炭素・水・塩化物イオンにまで落ちます。嫌気分解では塩素が一個ずつ外れる還元的脱塩素化が主役です。引っかけの核心は好気分解の最終生成物で、選択肢(2)は「水とCO2とエチレンに分解される」とし、外れた塩素の行き先であるべき塩化物イオンの代わりに「エチレン」を挙げている点が誤りです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(2)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 分解能力をもつ好気性微生物として、メタン資化細菌が挙げられます。正しい記述です。 |
| (2) | ×(誤り) | 好気分解でトリクロロエチレンは最終的に水・CO2と塩化物イオンになります。最終生成物に「エチレン」を挙げる点が誤りです。 |
| (3) | ○(正しい) | 嫌気細菌による主な分解は、塩素原子が一個ずつ外れる還元的脱塩素化反応です。正しい記述です。 |
| (4) | ○(正しい) | 塩素化エチレン分解細菌の培養液を汚染地下水に注入して浄化する方法があります。正しい記述です。 |
| (5) | ○(正しい) | 通常の有機物が多い排水に活性汚泥法を使うと、フロック形成細菌が優勢になり、分解菌は共生しにくくなります。正しい記述です。 |
選択肢(2)のポイント(ここが誤り)
好気細菌(メタン資化細菌など)がトリクロロエチレンを分解すると、炭素は最終的に二酸化炭素と水になり、分子から外れた塩素は塩化物イオンとして水に残ります。無害化された最終生成物にエチレンのような有機物は残りません。選択肢(2)は最終生成物として「水とCO2とエチレン」を挙げていますが、外れた塩素の行き先である塩化物イオンが正しく、そこにエチレンを混ぜている点が誤りです。
覚え方
- 好気分解の最終形はCO2・水・塩化物イオン。エチレンは残らない。
- 嫌気分解は塩素が一個ずつ外れる還元的脱塩素化。
- 分解菌の代表はメタン資化細菌/地下水は培養液注入で浄化。
理解度チェック
Q.
好気細菌によるトリクロロエチレンの最終分解物は?
二酸化炭素・水・塩化物イオンです。エチレンは最終生成物として残りません。
Q.
嫌気細菌による主な分解反応は?
塩素原子が一個ずつ外れる還元的脱塩素化反応です。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和4年度 公害防止管理者等国家試験 水質有害物質特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月