令和2年度 公害防止管理者 水質関係技術特論 問20を解説|冷間圧延の排水処理
令和2年度 水質関係技術特論 問20は、製鉄所の冷間圧延工程における排水処理に関する正誤問題です。特定施設や汚濁物質、処理の仕組みについて、誤っているものを選びます。
この問題のポイント
冷間圧延の周りには、酸洗・めっき・クロメート処理などの工程があり、それぞれの排水を狙いに合わせて処理します。六価クロムは還元して毒性の低い三価クロムにし、酸性排水は水酸化ナトリウムや消石灰で中和します。引っかけの核心は鉄の処理の向きで、水に溶けやすい二価の水酸化鉄を酸化して三価にすると溶けにくくなり沈殿として除けるのに、選択肢(3)はこれを「溶解量を増加させる」と逆に述べています。酸化の目的は溶解量を減らして沈殿除去することです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 圧延施設・焼入施設・酸やアルカリによる表面処理施設・電気めっき施設は特定施設に挙げられます。正しい記述です。 |
| (2) | ○(正しい) | 亜鉛めっき工程の主要な汚濁物質は、亜鉛・溶解鉄や、亜鉛と鉄の反応物のSSです。正しい記述です。 |
| (3) | ×(誤り) | 水酸化鉄(II)を(III)に変えるのは溶解量を減らして沈殿させるためで、「増加させる」とする向きが逆で誤りです。 |
| (4) | ○(正しい) | クロメート処理の六価クロムは、還元剤で毒性の低い三価クロムに還元します。正しい記述です。 |
| (5) | ○(正しい) | 酸性排水のpH調整には、水酸化ナトリウムや消石灰が用いられます。正しい記述です。 |
選択肢(3)のポイント(ここが誤り)
鉄には溶けやすさの違う二つの状態があり、二価の鉄(水酸化鉄(II))は水に溶けやすく、三価の鉄(水酸化鉄(III))は溶けにくいという性質があります。だから排水処理では、二価の鉄を酸化して三価に変え、溶解量を減らして沈殿(フロック)として取り除くのが狙いです。選択肢(3)はこの向きを逆にして「三価に変えて溶解量を増加させる」と述べており、それでは鉄が水に溶けたまま残ってしまい処理になりません。酸化の目的は溶かすことではなく、溶けにくくして沈めることだと押さえます。
覚え方
- 鉄は二価→三価に酸化して溶解量を減らし沈殿除去。増やすのではなく減らす。
- 六価クロムは還元剤で三価へ(毒性を下げる)。酸性排水は水酸化ナトリウム・消石灰で中和。
理解度チェック
水酸化鉄(II)を(III)に酸化するのは何のため?
溶解量を減らして沈殿除去するためです。三価の鉄は溶けにくいので、酸化してフロックにし、固液分離で取り除きます。「溶解量を増加させる」は逆です。
クロメート処理の六価クロムはどう処理する?
還元剤で三価クロムに還元します。三価にして毒性を下げ、水酸化物として沈殿除去します。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和2年度 公害防止管理者等国家試験 水質関係技術特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月