令和元年度 公害防止管理者 水質関係技術特論 問1を解説|向流多段洗浄の段数
令和元年度 水質関係技術特論 問1は、向流多段洗浄で必要な洗浄段数を求める計算問題です。与えられた式に条件を当てはめ、製品中の不純物質量を原料中の1/10000以下にできる最小の段数を選びます。
この問題のポイント
向流多段洗浄では、各段の洗浄水量Vと、製品が各段で持ち出す水量vの比 r(=V/v)が効きます。残留比は式で表され、rが大きく段数nが多いほど不純物の残留は小さくなります。分かれ目は、まず r を正しく求めること、そのうえで残留比が目標の1/10000(0.0001)以下になる最小の整数nが3と4のどちらかを見極める点です。段数を1つ増やすごとに残留比は約1/r(今回は約1/10)ずつ小さくなるので、境界の見きわめが答えを分けます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)
計算の手順
- 比 r を求める。洗浄水量 V=1 m3=1000 L、持ち出し水量 v=100 L なので、r=V/v=1000/100=10。
- 残留比の式に r=10 を代入すると、an/a0=(r−1)/(rn+1−1)=9/(10n+1−1) となる。
- n=3 のとき:9/(104−1)=9/9999≒0.0009。これは0.0001より大きいので不足。
- n=4 のとき:9/(105−1)=9/99999≒0.00009。これは0.0001以下で条件を満たす。
- よって条件を満たす最小段数は n=4。
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | n=1では残留比が大きすぎ、目標の0.0001を大きく上回ります。 |
| (2) | ×(誤り) | n=2でも残留比は0.0001を上回り、条件を満たしません。 |
| (3) | ×(誤り) | n=3では残留比≒0.0009で、まだ0.0001を上回ります。あと一段足りません。 |
| (4) | ○(正しい) | n=4で残留比≒0.00009となり、初めて0.0001以下を満たす最小段数です。 |
| (5) | ×(誤り) | n=5でも条件は満たしますが「最小の段数」ではないため、答えにはなりません。 |
ここが分かれ目
誤りやすいのは、残留比が0.0001を下回る境界を n=3 と勘違いする点です。段数を1つ増やすと残留比は約1桁(約1/10)小さくなります。n=3では≒0.0009で目標に一桁届かず、n=3では条件を満たせません。もう一段増やしたn=4でようやく≒0.00009となり、初めて0.0001以下に収まります。「最小」を問われているので、条件を満たす中でいちばん小さいn=4を選ぶのが正解です。
覚え方
- 比 r は洗浄水量÷持ち出し水量。単位をLかm3にそろえてから割る。
- 向流多段は段を1つ増やすごとに残留比が約1/r倍。目標を割った桁数で必要段数の当たりをつける。
- 「最小の段数」=条件を満たすうちで最も小さいn。1つ手前の段では満たさないことを必ず確認。
理解度チェック
Q.
洗浄水量1 m3、持ち出し水量100 Lのとき比 r はいくつ?
r=10です。1 m3=1000 Lにそろえ、1000÷100=10と計算します。
Q.
n=3では条件を満たせないのはなぜ?
残留比が約0.0009で、目標の0.0001を上回るからです。一段増やしたn=4で約0.00009となり初めて条件を満たします。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和元年度 公害防止管理者等国家試験 水質関係技術特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月