令和4年度 公害防止管理者 汚水処理特論 問16を解説|循環式硝化脱窒素法
令和4年度 汚水処理特論 問16は、循環式硝化脱窒素法による窒素除去に関する問題です。最も不適当なものを選びます。
この問題のポイント
循環式硝化脱窒素法は、硝化槽でアンモニアを硝酸まで酸化し、その硝酸を脱窒素槽へ循環させて窒素ガスに還元する方式です。分かれ目は硝化と脱窒素のアルカリ度(pH)収支です。硝化はアンモニウムイオンの酸化で酸(水素イオン)を出してアルカリ度を消費します。一方、脱窒素はアルカリ度を一部取り戻しますが、その回復量は硝化で失った分のおよそ半分にとどまり、等モルにはなりません。この差を「同じモル数だから相殺されてpHは下がらない」と言い切ると誤りになります。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(2)(最も不適当な記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | アンモニウムイオンを硝酸イオンまで酸化するには酸素分子がアンモニウムイオン数の2倍必要です。正しい記述です。 |
| (2) | ×(誤り) | 脱窒素で同じモル数の水酸化物イオンが生じるためpH低下は起こらないとしている点が不適当です。回復するアルカリ度は消費分の一部にとどまります。 |
| (3) | ○(正しい) | 硝化は水温低下の影響を受けやすく、15 ℃以下では硝化能力が大きく低下します。正しい記述です。 |
| (4) | ○(正しい) | 脱窒素を担う通性嫌気性細菌は、酸素があればより効率のよい酸素呼吸を優先します。正しい記述です。 |
| (5) | ○(正しい) | 循環式では、排水中のBODを水素供与体に使うため、脱窒素槽を硝化槽の前に置きます。正しい記述です。 |
選択肢(2)のポイント(ここが誤り)
硝化では、アンモニウムイオンが硝酸イオンへ酸化される過程で水素イオンが生じ、アルカリ度が消費されます。脱窒素では、硝酸イオンが窒素ガスへ還元される過程でアルカリ度が回復しますが、その量は硝化で消費した分のおよそ半分にすぎません。つまり収支は釣り合わず、系全体ではアルカリ度が不足しがちで、pHは下がる方向になります。選択肢(2)は「同じモル数の水酸化物イオンが生じるため、プロセス全体としてpH低下は起こらない」と言い切っている点が誤りで、実際には運転でアルカリ剤の補給が必要になる場合があります。
覚え方
- 硝化はアルカリ度を消費(酸を出す)、脱窒素は一部だけ回復。収支は等モルではない。
- 全体としてはアルカリ度不足でpHは下がりやすい→アルカリ剤補給が要ることも。
- 循環式は脱窒素槽が前・硝化槽が後。硝化は15 ℃以下で能力が大きく低下。
理解度チェック
硝化で消費したアルカリ度は、脱窒素で全部回復する?
いいえ。脱窒素で回復するのは消費分のおよそ半分です。差し引きでアルカリ度が不足し、pHは下がる方向になります。
循環式硝化脱窒素法で、脱窒素槽を硝化槽の前に置くのはなぜ?
排水中のBOD成分を脱窒素の水素供与体として利用するためです。硝化槽の硝化液を前段の脱窒素槽へ循環させて窒素を還元します。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和4年度 公害防止管理者等国家試験 汚水処理特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月