令和元年度 公害防止管理者 汚水処理特論 問20を解説|フレーム原子吸光法
令和元年度 汚水処理特論 問20は、フレーム原子吸光法の原理に関する下線部問題です。文中の下線部(1)〜(5)のうち誤っているものを選びます。
この問題のポイント
フレーム原子吸光法は、試料を炎で原子化し、その原子に元素固有の光(共鳴線)を当てて、吸収された光の量(吸光度)から濃度を求める方法です。引っかけの核心は、光を吸収する原子が基底状態か励起状態かです。炎の中で原子化された原子の大部分は基底状態にあり、その基底状態の原子が共鳴線を吸収します。ここを「励起状態の原子」とすると、吸収でなく発光の話にすり替わり、誤りになります。なお下線部(N)は文中の下線部(N)を指します。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(1)(誤っている箇所)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | 対象元素を炎で「励起状態の原子」とした点が誤りです。原子吸光では基底状態の原子が光を吸収します。 |
| (2) | ○(正しい) | 原子蒸気に元素固有の共鳴線を透過させる、という記述は正しいです。 |
| (3) | ○(正しい) | 吸光度を測定して濃度を求める、という測定原理は正しい記述です。 |
| (4) | ○(正しい) | 測定用の光源に中空陰極ランプ(ホロカソードランプ)を用いるのは正しい記述です。 |
| (5) | ○(正しい) | 紫外部のバックグラウンド補正用光源に重水素ランプを用いるのは正しい記述です。 |
選択肢(1)のポイント(ここが誤り)
原子吸光は「原子が光を吸う」現象を使います。炎で原子化された原子の多くは基底状態にあり、その基底状態の原子に元素固有の共鳴線を当てると、原子はその光を吸って一段上のエネルギー状態へ移ります。吸われて減った光の量(吸光度)が原子の数、つまり濃度に対応します。下線部(1)を「励起状態の原子」とするのは向きが逆で、あらかじめ励起した原子が光を放つのは発光分光(ICP発光など)の考え方です。原子吸光では、光を吸う主役は基底状態の原子だと押さえます。
覚え方
- 原子吸光=基底状態の原子が共鳴線を吸収。励起状態が光を出すのは発光分光。
- 光源は元素ごとの中空陰極ランプ、紫外部のバックグラウンド補正は重水素ランプ。
- 吸う=原子吸光、出す=発光分光、と吸収と発光を対で整理。
理解度チェック
原子吸光で光を吸収するのは、基底状態と励起状態のどちらの原子?
基底状態の原子です。炎で原子化された原子の大部分が基底状態にあり、それが共鳴線を吸収します。「励起状態」は誤りです。
中空陰極ランプと重水素ランプは、それぞれ何のための光源?
中空陰極ランプは測定用(元素固有の共鳴線)の光源、重水素ランプは紫外部のバックグラウンド補正用の光源です。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和元年度 公害防止管理者等国家試験 汚水処理特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月