令和6年度 大規模大気特論 問6は、上層に低い逆転層がある状況での風下の拡散濃度式を選ぶ問題です。正しいものを選びます。地上付近が不安定で、上に低い逆転層がふたをするケースを扱います。
地上が不安定で上に低い逆転層があると、煙は地面と逆転層の間に閉じ込められ、十分に風下へ進むと鉛直方向には一様(縦方向に均一に混ざった状態)になります。こうなると、鉛直方向の広がりを表すσzで割る通常のプルーム式は使えず、煙が詰まっている層の厚さ、すなわち逆転層高さLで割る形に置き換わります。一方、水平方向(横方向)は逆転層に関係なく広がるので、σyによるガウス分布exp(−y²/2σy²)はそのまま残ります。整理のカギは、鉛直はLで一様化/水平はσyのガウスという置き換えを正しく組み合わせた式を選ぶことです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)
| 選択肢 | 判定 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | 水平方向のexp(−y²/2σy²)が無く、有効煙突高さHeが分母に入っています。横方向のガウス分布が欠け、Lで一様化する形にもなっていません。 |
| (2) | ×(誤り) | 水平のexp項はあるものの、分母にσyが入っておらず横方向の規格化が欠けています。係数の組み立てが正しくありません。 |
| (3) | ○(正しい) | 分母がσy・L・uで、横方向にexp(−y²/2σy²)が掛かる形です。鉛直はLで一様化、水平はσyのガウスという置き換えに合致します。 |
| (4) | ×(誤り) | He/L²やHeを含み、本来は閉じ込めで消えるはずの煙突高さが式に残っています。鉛直一様化の形になっていません。 |
| (5) | ×(誤り) | σzとHe/Lが残っており、鉛直方向がLで一様になった状況を表せていません。閉じ込め前の式の名残です。 |
十分に風下へ進むと、煙は地面と逆転層にはさまれて鉛直方向に一様になります。このとき鉛直分布を表していたσzは意味を失い、煙が詰まっている層の厚さ逆転層高さLで割る形に変わります。一方、横方向は逆転層と無関係に広がり続けるので、σyによるガウス分布 exp(−y²/2σy²)はそのまま残ります。よって濃度は「Q を風速u・横方向のσy・閉じ込め厚さL で割り、横方向のガウス項を掛けた形」になり、これが選択肢(3)です。σzが残る/Heが残る選択肢は、鉛直方向がまだ一様化していない(閉じ込め前の)式であり、この設定には当てはまりません。
逆転層に閉じ込められ十分風下へ進むと、鉛直方向の項はどう変わる?
鉛直方向が一様になるため、σz で表していた分布が逆転層高さL で割る形に置き換わります。煙が詰まっている層の厚さで規格化するイメージです。
この状況で水平方向のガウス項 exp(−y²/2σy²) はどうなる?
そのまま残ります。横方向の広がりは逆転層に関係なく続くため、σyによるガウス分布は変わりません。
この問題に関連する用語解説
出典
※ この記事の確認日:2026年6月